守りの三菱電機、宇宙で攻める 衛星に大型投資110億円

2017/4/7 23:42
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 「守りの経営」のイメージが強い三菱電機が宇宙ビジネスで攻めの姿勢を打ち出した。7日、鎌倉製作所(神奈川県鎌倉市)に新棟を建設し、人工衛星の生産能力を8割増強すると発表した。投資額は約110億円と日本勢として過去最大級だ。新設備によるコスト削減で欧米大手や低価格ベンチャーに対抗し、重電業界の「地味な優等生」からの脱皮を目指す。

 「コストを3割下げれば世界で戦う土俵に上がれる」。三菱電機で宇宙ビジネスを担当する電子システム事業本部長の岡村将光常務執行役は7日の記者会見で、大型投資の意義をこう強調した。

 鎌倉製作所に建設する新たな生産棟は、宇宙空間の環境を疑似的につくり出す設備「スペースチェンバー」などを備え、2019年10月に稼働させる。稼働後は同時に製造できる基数が10基から18基に増える。

 設備投資と並行して、衛星の設計・製造の全工程であらゆるモノがネットにつながるIoT化を推進する。これらの積み重ねで、工期・コストを従来に比べ3割減らせるという。

 7日には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から「技術試験衛星9号機」を受注したことも発表。通信の高速・大容量化に対応した世界最先端の9号機を21年度までに納入し、その後は技術を転用した衛星を年間2基ペースで受注していく。

 三菱電機が大型投資に踏み切るのは、宇宙ビジネスの世界市場が膨らんでいるためだ。米業界団体SIAによると、市場規模は15年時点で約2080億ドル(約23兆円)。三菱電機が対象とする衛星の製造・関連サービスはその7割を占める。

 三菱電機は01年のIT(情報技術)バブル崩壊を機に、守りの経営にカジを切った。携帯電話端末からいち早く撤退し、リスクの大きい半導体は他社との事業統合で分離。宇宙関連やFAシステムなど得意分野で地道に稼ぐ体制に移行した。

 日本の重電業界で、三菱電機は日立製作所東芝に次ぐ3番手が指定席だった。このうち東芝は米原子力大手ウエスチングハウス(WH)買収が裏目に出て、虎の子の半導体メモリー事業を手放す経営危機に陥った。三菱電機は時価総額で東芝の3.6倍となり、売上高も2位が視野に入る。

 現在は、宇宙システム事業を8つある成長けん引事業の一つに位置づける。15年度の宇宙システム事業の売上高は1100億円。21年度には1500億円まで伸ばす意向で、今回の投資はその布石となる。

 とはいえ、宇宙ビジネスも競争は激しい。人工衛星メーカーで上を仰ぎ見れば、ボーイングやロッキード・マーチンなど欧米勢が圧倒的な強さを誇る。三菱電機を含む日本勢のシェアは1割にも満たないとみられる。

 足元では、別の製造手法で低コストを目指す新興企業の参入が相次ぐ。キヤノン電子はカメラやプリンターで培った技術で、価格を1基10億円以下と一般の大型衛星の数十分の1に抑えた小型衛星を開発。東大発ベンチャーのアクセルスペースは22年までに小型衛星50基を打ち上げる計画だ。

 大型投資を機に、国内の官公需への依存から「東南アジアなどの新興国を中心にシェアを取りに行く」(岡村氏)事業モデルに転換できるのか。三菱電機の覚悟が問われる。(増田有莉)

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