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平成のスーパースター、競技生活に終止符 浅田引退表明

2017/4/11 1:26
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 フィギュアスケートの浅田真央(26、中京大)が競技生活に終止符を打った。12位に終わった昨年12月の全日本選手権の演技後に「競技者として選手である以上は、現状維持ではなくて、自分ができる最高のレベルで挑まなくてはいけないと思う」と語っていた。全日本選手権で2017年世界選手権の出場が絶たれた。18年平昌五輪の出場を目指すにしても、メダルを争う世界のトップスケーターの一人として戦うことができないことを悟ったに違いない。自分ができる最高の演技を目指すことを原動力としてきた。進退を判断するうえで、譲れない一線だったのだろう。

ソチ冬季五輪のフィギュアスケート女子フリーで演技する浅田真央(2014年2月)

ソチ冬季五輪のフィギュアスケート女子フリーで演技する浅田真央(2014年2月)

 希代のスケーター。そんな言葉だけではくくれないほど、少女時代から一挙手一投足が注目され、国民的な人気を博した。ジャンプはもちろんステップや情感豊かな表現力など、演技の一つ一つに華があった。晴れやかな「真央スマイル」は多くの人々を魅了した。昭和でいうなら長嶋茂雄のような存在で、浅田はまさに平成のスーパースターだった。

 世界ジュニア選手権優勝、グランプリ(GP)シリーズ全7大会完全制覇、日本人最多の3度の世界女王――。五輪以外の全てのタイトルを獲得する輝かしい実績を残した、記録もさることながら、大技トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に代表されるように、浅田のたゆまぬ向上心が人々の胸を打った。尊敬する伊藤みどりの後を受け継ぐように、「自分にしかできない」トリプルアクセルに果敢に挑んだ。「もっともっと上を目指せる」「自分がどこまで挑戦できるのか楽しみ」。浅田の口からこんな言葉を何度聞いたことだろう。

 ソチ五輪前の13年には、フリーでトリプルアクセルを2本入れるプログラムに挑戦したことがあった。体力的な負担から、3回転―3回転のコンビネーションジャンプを回避することになり、結果的にプログラム全体の基礎点も下げることになった。勝負に徹するなら、通常ではあり得ない演技構成だった。それでも浅田は自らの限界に挑戦すべく、ただ上だけを見てトリプルアクセルを跳んだ。今でこそトリプルアクセルに挑戦する女子スケーターも出てきたが、世界で長年にわたってトリプルアクセルを跳び続けてきたのは女子で浅田ただ一人。時代の先を行ったスケーターだった。

 スケート人生は「喜びもあったけど、悩むことの方が多かった」と振り返ったことがある。初の五輪へ向けて国民の期待が高まった09~10年バンクーバー五輪シーズンはスランプに陥った。11年には最愛の母・匡子さんとの別れもあった。競技生活の集大成と位置づけた14年ソチ五輪ショートプログラム(SP)では大不振に見舞われて16位となった。それでも、歯を食いしばって耐えた。次の日に立てなくなるまで猛練習に打ち込んだこともある。数々の困難を乗り越えて立ち上がった。スケートの才能だけでなく、努力の天才でもあった。

 競技生活のハイライトといえるのは、氷上でうれし涙を流した14年2月のソチ五輪フリー。そしてSPで世界歴代最高得点をマークするなど3度目の優勝を飾った14年3月の世界選手権かもしれない。「ようやく自分の最高の演技ができた」。順位や結果ではない。自身が追い求めてきた理想の演技にたどり着くことができた。浅田の心は十分に満たされた。

 日本に一大フィギュアブームを巻き起こした。浅田を目標に競技を始めた次代を担う選手が、後に続こうとしている。14年3月の世界選手権で浅田はこう言った。「あらためてフィギュアスケートっていいなと思った」。浅田によって銀盤の世界の魅力に引き込まれた多くの国民も、いま同じ思いだろう。(金子英介)

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