地熱使いリーフレタス栽培 福島、調査井戸を再利用

2016/8/29 10:25
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 東京電力福島第1原発事故からの復興を目指す福島県天栄村で、地熱を活用したリーフレタスの栽培が行われている。村が地熱発電の調査用に掘った井戸を再利用した全国でも珍しい取り組みだ。再生可能エネルギーを農業と地域社会に生かす新たなモデルとして注目を集めつつある。

 陽光が差し込む山あいのハウス内では、一面にリーフレタスが育っていた。天栄村での水耕栽培の風景だ。

 一見、通常のハウス栽培のようだが、温度管理の仕組みに特色がある。冬場は地熱を熱交換で温風にして暖房に利用。夏場は沢の水を同様に冷房として使う。冬の寒さが厳しい土地だが、化石燃料をほとんど使わない。

 「人手が必要なのは種まきや植え付け、収穫の時だけ」。栽培を担当する星あき子さん(57)が胸を張る。液肥の補充や天井の開閉による光量調節も自動化されており、農業未経験者でも容易に管理できるという。

 暖房に使用している地熱の井戸は2000年代半ば、村が地熱発電のための調査で地下約1400メートルまで掘削したものだ。約50度の温水が、1分当たり20~70リットル湧き出す。

 発電には向かないと判断され放置されていたが、東日本大震災と原発事故後の12年、国の補助を受けて農業施設として生まれ変わった。

 今年5月までは村の直営だったが、現在はNPO法人「湯田組」が運営を請け負う。同法人の事務局長、星昇さん(37)は「試験用の井戸は各地で掘られているが、ほとんどは埋め戻されている。ここは地熱を地域のために活用しているという点で大きな意義がある」と指摘する。

 広さ約300平方メートルのハウスで、昨年は約1万株のレタスを生産。特産品として地元の直売所やホテルに出荷している。

 村の担当者は「発電には適さなかった井戸が、村の活性化や雇用創出につながっている」と話す。長野県小谷村でも同様に地熱を農業に活用することを目指す動きが出ており、他の地域に波及する期待もある。

 星事務局長は「それほど手間が掛からず安定生産が可能なため、お年寄りや障害者の働く場所としても適している」と話す。井戸の熱には余力があり、現在のハウスと同規模のものであればあと2棟が運営可能。エネルギーの「地産地消」に向けて、生産拡大を目指す方針だ。〔共同〕

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