大学新入試、高校の授業に変革も 採点の公平性課題

2017/5/16 13:20
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 多くの受験生が挑むことになる「大学入学共通テスト(仮称)」の概要が16日、初めて示された。新たに導入される記述式問題について、高校や塾の専門家からは「高校の授業を変える」などと評価する声があがる一方、採点の公平性など課題を指摘する意見も寄せられた。

 記述式の問題例は国語と数学で各2問が示された。答え方だけでなく、出題内容も現行の大学入試センター試験とは大きく異なる。

 国語では架空の街の「景観保護ガイドライン」が題材。父娘の会話など複数の文章を読んだ上で、議論の対立点などを記述させる。解答に際しては「全体を2文でまとめ、合計80字以上120字以内」といった条件を課した。

 松野博一文科相は16日の記者会見で、今後の大学入試について「(知識、思考力、多様な人々との協働という)学力の3要素を多面的、総合的に評価する入試に転換してほしい」と述べた。

 進路指導に詳しい静岡県立掛川西高校の駒形一路教諭(国語)は「これまで国語で重視されなかった言語運用能力を問いたいという出題意図が十分わかる」と指摘。「読解に偏重した授業の姿に影響を与えることは確実」と予想する。

 埼玉県立浦和高校の杉山剛士校長は「特別な対策をせずとも、主体的・対話的で深い学びが定着する中で自然と身につく力を見る問いだ」と評価。「地域や実生活に密着した問題が含まれていることも評価できる」と話した。

 数学の問題例では、公園の銅像を素材に、高校で学ぶ「余弦定理」を応用して像が見えやすい位置や角度を考えさせる。

 大手進学塾、Z会進学教室の橋野篤指導室長は「センター試験より思考力を問う出題になっている。本質を理解させる授業の重要度が増す」と評価する。

 ただ、難点や課題の指摘もある。都内の塾講師は国語の問題について、「拍子抜けするほど易しい。内容もレベルも(小学生が受ける)公立中高一貫校の適性検査問題に近い」と驚く。

 さらに「内容の理解より、解答の仕方が得点力を決める。パターンをつかめば塾としては指導が楽だ」と指摘。「(塾が多い)都会の子供に有利」とも予想する。

 灘高校(神戸市)の和田孫博校長は国語の問題例について「全国規模の受験で採点の公平性が担保されるか心配」と指摘。「各校で対策が始まると思うが、国語にせよ数学にせよ、科目の本来の勉強を曲げてまで対策を講じるのは間違いだ」と強調する。今秋に予定される試行テストの結果なども踏まえ「最終的には本来の教育課程をしっかりやっていれば解ける問題になってくるだろう」と内容のさらなる改善を期待する。

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