手拭い「豆絞り」技つなぐ 絞り染め、名古屋の工房で復活

2017/1/11 12:28
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 子孫繁栄の願いを連なる丸模様に込めた豆絞り。手拭いの代表的な柄だが、現代では型を使った染め物やプリントが主流となっている。江戸時代に流行し、一時途絶えた絞り染めの「板締め豆絞り」を復活させた工房が、400年の歴史を持つ有松絞りの産地・名古屋市緑区にある。日本唯一となった技を家族3人で受け継ぐ「張正」だ。

 板締め豆絞りは、溝が彫られた板で約2センチ幅のびょうぶ状に折った布をきつく挟み、溝の部分のみを染める技。布同士が密着した部分には染料が入らず白地が残る。板の溝は、布の山折り線に対し直角に置くため、折り目だけに約5ミリ間隔で丸模様が浮かぶ。

 万力を使った締め付け作業は2人がかり。職人歴60年を超える鵜飼正己さん(80)は「2人の力加減が違うと豆がゆがむ。今でも失敗するよ」と緊張した面持ちだ。締めが強いと豆が小さく、弱いとにじむ。

 豆絞りは豆を包んだ布を糸でくくって染めたのが原型とされる。後に板締めが広がったが、徐々に量産可能なプリントなどに取って代わられた。

 張正は1897年(明治30年)開業。1950年ごろ、本物の豆絞りが欲しいという依頼が舞い込んだ。文献は見当たらず困っていたところ、愛知県の海水浴場で使っている人を偶然発見。その手拭いを唯一の手掛かりに2代目が道具から手作りし、納得できる品ができたのは57年だった。

 張正の豆絞りは、歌舞伎役者が愛用するほか、女性誌で紹介され若い世代にも人気が広がる。3代目の弟の正己さんと、4代目敬一さん(55)、妻小百合さん(52)の家族3人で作れるのは最大でも月に600本だ。

 「習うにもこつは数値で表せず、全てがさじ加減というのが難しい」と小百合さん。季節や布の状態で出来が変わる。手仕事だから豆模様も一点物。正己さんは「プリントのように豆の粒がそろうのが良いという人もいるけど、味があるのは絞りだね」と染め上げたばかりの手拭いを眺めた。〔共同〕

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