子供の蹴ったボールで事故、親の責任認めず 最高裁

2015/4/9付
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 道路に飛び出したサッカーボールを避けて転倒事故が起きた場合、ボールを蹴った子供の親は責任を負うべきか――。こんな問題が争点となった訴訟で、最高裁第1小法廷(山浦善樹裁判長)は9日、「危険でない行為でたまたま人に損害を与えた場合、親に賠償責任はない」との初判断を示した。

 民法は、子供が第三者に損害を与えた場合、親が監督義務を怠っていれば賠償責任を負うと定めている。従来は「監督責任」の範囲が不明確で、同様のケースでは親が賠償責任を負うことがほとんどだった。最高裁が判断を示したことで、子供のほか、認知症高齢者の徘徊(はいかい)を原因とした事故の賠償などにも影響を与えそうだ。

 バイクを運転中に転倒して亡くなった男性の遺族が、ボールを蹴った男児(当時11)の両親を訴えていた。最高裁判決は、監督義務を怠ったとして賠償を命じた一、二審判決を破棄し、請求を棄却した。遺族側の逆転敗訴が確定した。

 判決は4人の裁判官の全員一致。同小法廷は判決理由で、校庭でのサッカー練習など日常的な行為で子が人に損害を与えた場合について「危険を予想できたなどの特別な事情がない限り、親が監督義務を尽くしていなかったとは言えない」と初めて判断。「通常のしつけをしており事故も予想できなかった」と結論付けた。

 判決によると、事故は2004年2月25日夕に愛媛県今治市で起きた。市立小の校庭で男児がゴールに向けフリーキックの練習中、蹴ったボールが門扉を越えて道路へ転がり、バイクで走行中の80代男性が転倒して足を骨折。寝たきりとなり約1年4カ月後、誤嚥(ごえん)性肺炎で死亡した。

 一審・大阪地裁と二審・大阪高裁は両親に1千万円超の賠償を命じていた。

 最高裁が今回適用したのは「監督義務を怠らなかったときは賠償責任はない」とする民法714条の規定。被害者救済の視点から、これまで事実上使われてこなかった。

 監督義務をめぐる訴訟では、列車にはねられて死亡した認知症の男性の遺族にJR東海が運行遅延の賠償を求めた訴訟で名古屋高裁が昨年4月、同居していた妻に「監督義務者としての責任を負う」として約360万円の賠償を命じ、双方が上告中。認知症の高齢者が車を運転して交通事故を起こしたり、線路内に立ち入って列車にはねられたりする事故も近年、全国で多発している。

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