カード情報1人前1万円 「ダークウェブ」公然と売買

2017/4/18 21:49
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 「あなたのクレジットカード情報が売られています」。北陸地方の40代男性は昨春、警視庁からの突然の連絡に驚いた。「誰が、どこで売っていたのか……」

他人のクレジットカードやウイルスなどの情報を売買する「ダークウェブ」のサイト(15日、東京都港区)
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他人のクレジットカードやウイルスなどの情報を売買する「ダークウェブ」のサイト(15日、東京都港区)

 売り主は岐阜市の男(30)だった。失業中の生活費を稼ごうと、他人のカード情報を転売することを思いついた。最初は一般的なインターネットの掲示板で情報を入手しようとしたものの失敗。しかし、ダークウェブの存在を知ったことで状況が変わった。

 ダークウェブのあるサイトで、1人分1万円程度で買うことができた。別のサイトで価格を上乗せして売りに出すと、買い手は次々に現れた。売り上げは4カ月で約450万円に達した。逮捕後の調べに「通常のネット空間よりも効率的に売買できた」と供述した。

 男は昨年7月、他人の口座から現金を引き出した窃盗容疑で逮捕された。捜査の過程でカード情報の売買が判明。警視庁幹部は「ダークウェブ内の売買だけだったら犯行は明るみに出なかったかもしれない」と漏らす。

 ダークウェブは特殊なブラウザソフトなどを使わなければ接続できないインターネットサイトの総称だ。検索サイトには表示されず、自分でアドレスを調べなければならない。発信元が特定されず、犯罪の温床になっているとされる。そこで取引されるのは個人情報にとどまらない。

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 「あらゆる違法なものがそろっています」。東京都内にあるセキュリティー会社「スプラウト」のオフィス。高野聖玄社長がパソコンを操作すると、数十種類のコンピューターウイルスや麻薬、偽造免許証が並ぶ英語のサイトが次々と画面に表れた。

 取引対象ごとに専門分化が進み、あるサイトには「殺人請負」の文言も。一般的な通販やオークションサイトと同じように、出品者の信頼度を評価するシステムを導入したサイトもある。競争の激しさは本物のネット通販業界さながらだ。

 脅威は人々の暮らしや企業活動にも忍び寄る。イスラエルのセキュリティー会社の調査では、日本に本社があるクレジットカード会社の利用者約10万人分の情報がサイト上で売買されていた。「企業の経営会議資料や新製品の図面を確認したこともある」(高野社長)。情報は世界中からアクセスできる。

 インターネットのサイトが犯罪行為に悪用される事例は過去にもあった。2007年には携帯サイトで知り合った男3人が女性を殺害する事件が発生。大規模な掲示板で違法薬物が売買されるケースも少なくない。

 しかしこれらは誰もがアクセス可能で、身元の特定も容易だ。捜査機関が取り締まりを強化したことで、違法行為の摘発も進んだ。代わって台頭したのがダークウェブだ。身元を隠すソフトと仮想通貨が普及し、通信と決済の両方で高い匿名性を保つことが可能になった。捜査幹部は「犯罪者が活動する舞台は表のサイトからダークウェブに移っている」とみる。

 セキュリティー大手、トレンドマイクロの鰆目順介シニアスペシャリストは「今後日本語のダークウェブも増える。専門知識がなくても簡単にサイバー犯罪などに手を染められる環境が整いつつある」と懸念する。

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