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住宅政策の転換を大胆に進めるときだ

2015/12/26 3:30
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 住宅政策の指針である新たな住生活基本計画の骨子案がまとまった。国土交通省が社会資本整備審議会の分科会に示した。来年3月までに新計画をまとめ、閣議決定する方針だ。

 新計画は2016年度から10年間を対象にしている。その折り返し点である20年ごろには人口に続いて世帯数も減少に転じ、住宅需要が本格的に減り始める。13年で約820万戸ある空き家は、23年には約1400万戸に膨らむという試算もある。

 新計画の骨子案では目標のひとつに「新たな住宅循環システムの構築」を掲げた。住宅を購入して終わりではなく、その住宅が資産として次世代に継承される仕組みを整える。空き家の増加を抑えるためにも既存の住宅の取引をもっと活性化する必要がある。

 住宅の流通戸数に占める中古住宅の割合をみると13年で14.7%にとどまっている。政府は現行計画でも中古住宅の割合を高める目標を盛り込んだが、この比率はここ数年、むしろ低下している。

 安心して中古物件を購入できるようにするためには、第三者が住宅の状況を調べるインスペクション(住宅診断)を普及させる必要がある。米国では中古物件の買い主の8割程度が診断をしているが、日本ではまだ少ない。

 中古住宅の購入費とリフォーム費用を一体で提供する住宅ローン商品ももっと広げたい。

 日本の住宅は築20年を超すと建物部分の資産価値がほぼゼロになる場合が多い。これでは適切に維持管理する動機づけにならない。

 住宅投資に占めるリフォーム投資の割合をみると日本は13年で28.4%と欧米よりもかなり低い。こうした日本の非合理な資産評価が影響しているのだろう。

 これからは建物を一体で評価するのではなく、柱や壁などの構造部分と内外装・設備部分を分けて評価すべきだ。例えば、シロアリ対策をしていれば構造部分の耐用年数は延びるはずだし、給排水管を交換すれば設備の資産価値はその分、元に戻るだろう。

 高齢化が進むなか、住宅のバリアフリー化を進めるリフォームももっと後押ししたい。地球温暖化をにらみ、住宅の省エネ性能を高める必要もある。

 住宅政策は今、大きな転換点を迎えている。新規物件の建設から既存物件の流通促進へ、政策の重点を大胆に変えるときだ。

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