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創作促す著作権の仕組みを

2015/11/18 3:30
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 著作権の保護強化をうたった環太平洋経済連携協定(TPP)の発効をにらんで、政府が著作権法の改正作業に着手した。知的財産の保護は日本の文化と産業にとって重要なテーマだが、「権利保護が強くなりすぎると創作の妨げになる」という懸念もある。

 オリジナル作品の作り手と、その作品を楽しみ活用する人の双方に目配りした、バランスの取れた制度改正が必要だ。

 焦点になりそうなのは、TPPに盛り込まれた著作権侵害の非親告罪化だ。本や映画を著作権者の許可なく複製して販売する「海賊版」などの行為は今でも刑事罰の対象だが、それは被害を受けた側の告訴が前提となっている。

 これが非親告罪になると、著作権者の意向とはかかわりなく、警察などが独自の判断で取り締まれるようになる。

 このため、有名な漫画の登場人物や設定を借用してパロディー作品を生み出す同人誌活動などが摘発の対象になる可能性がある。

 二次創作とも呼ばれるこうした活動は原作の著作権者の黙認のもとで実施され、模倣のなかから新たな才能が生まれることも多い。オリジナル作品の保護が行きすぎて社会全体の表現活動が萎縮するのでは、著作権制度の本来の趣旨にも逆行するだろう。

 制度改正で政府はこの点を十分に配慮する必要がある。オリジナルをそのままコピーするのではない「翻案」と呼ばれる行為や、原作の売り上げに響かない、仲間内で楽しむための非営利の活動は刑事罰の対象にならないことを、法令上も明記してほしい。

 TPPには著作物の保護期間の長期化も盛り込まれた。現在、作者の死後50年間とされている小説や音楽の保護期間を70年に延長する。これは条約上の要請であり、すでに70年保護を採用している国が多いことも事実だ。

 ただ、保護期間が長期化すればするほど、古い作品の自由な活用が妨げられるという副作用があることには、留意したい。

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