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汚染水対策の実績積み重ねよ

2015/10/29付
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 東京電力福島第1原子力発電所で、汚染された地下水が海に流れ出るのを防ぐ「遮水壁」が完成した。海をこれ以上の汚染から守る手立てができたのは一歩前進だ。ただ汚染水問題にはなお課題が多く残る。東電には今後も慎重かつ入念に対策を進めるよう強く求めたい。

 東電は発電所の護岸に沿い約800メートルにわたって、地下に鋼鉄製の壁(遮水壁)を築いてきた。護岸部からは海に、汚染土壌を通過してきた地下水が毎日約400トン流れ出ていた。壁の完成でこれを約10トンに減らせると試算している。これでようやく海の汚染は「制御できている状態」に近づいたといえるだろう。

 今後、東電は海水中の放射性物質の濃度などを継続的に詳しく調べて遮水壁の効果を明らかにすべきだ。また見落としてしまっている流出経路がないかを、改めて確認することも大事だ。

 対策ができたという確かな実績を示してこそ、風評被害の防止につながり、汚染水対策に協力してきた地元漁業者との信頼関係を強固にできる。

 海への流出を防ぐ手立てができたとはいえ、浄化処理が必要な汚染水は増え続ける。原子炉の建物内への地下水の流入が続くからだ。東電は建物を取り囲むように地下凍土壁を築き、建物への流入を制御する計画だが、いまだに完成していない。凍土壁の有効性や費用対効果に関し、いま一度考え直す必要がありはしないか。

 また、敷地内のタンクには汚染水などが約70万トンたまり増え続けている。その多くはトリチウム以外の放射性物質を取り除いた処理済みの水だ。

 現時点では、たとえ安全基準を満たしていてもトリチウム入りの水を海に流すことに関係者の同意を得るのは難しいだろう。東電は放出も将来の選択肢だととらえて理解を得る努力を続けるべきだ。それと同時並行でトリチウム除去技術の開発も進めておくのがいい。多重の備えが必要だ。

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