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身の丈に合わせた自然体の五輪でいい

2015/7/24付
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 こんなありさまで本当に大丈夫なのかと一抹の不安がよぎる。2020年東京五輪についてだ。24日で大会まであと5年になった。

 招致段階の費用の見積もりはなんとずさんだったことか。資材価格や人件費の上昇だけでは到底説明できない状況だ。

 競技会場などの整備費はもともと、4554億円と想定していた。ところが、東京都の担当分では約1500億円だった当初案が一時、3倍に膨らみかねない事態になった。昨年以降、都は他県の施設の活用など大幅に計画を見直し、約2600億円まで圧縮した。

 2520億円という巨額の整備費で国民の多くからノーを突きつけられた新国立競技場も白紙に戻った。文部科学省任せで迷走した反省を踏まえ、財務省や国土交通省などによる横断チームが結成された。これまでの文科省などの責任も明確にする必要がある。

 建設費を抑えると同時に、五輪後の施設運営でも楽観的な収支見通しを排すべきだ。持続可能な将来像を模索し、実現してこそ真に五輪のレガシー(遺産)になる。

 国際オリンピック委員会(IOC)は昨年末、五輪の改革案「アジェンダ2020」をまとめ、開催費用の削減を打ち出した。IOCのこの方針転換で、東京の計画見直しもこれまでのところ大きなあつれきは生んでいない。不幸中の幸いといえるだろう。

 一方、競技会場を集約する「コンパクト五輪」が修正されたことで、選手の円滑な移動手段の確保など新たな課題が出てきた。訪日客の急増もあって、宿泊施設の不足もさらに深刻になるだろう。

 20年に向けて動き出している様々なプロジェクトの行方も気になる。都は晴海の選手村について水素社会を先取りする地域に整備する方針だ。映像技術から夏場に強い花の品種づくりまで、様々な技術開発も始まっている。

 大会まで5年となり、改めて五輪開催の意義を確認する必要がある。豪華な施設を誇り、メダルの数ばかりを気にするような五輪は今の日本にはふさわしくない。

 都市整備や技術開発も大事だが、これも予算を大盤振る舞いしてまで進める必要はない。少なくとも五輪のために震災復興が後回しにされるようでは困る。

 予算の使い道の透明性を高めて、身の丈に合わせた自然体の大会にする。これこそが成熟した国における五輪の姿だろう。

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