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本音の安保論議で理解深める努力を

2015/7/17付
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 今国会最大の対決法案である安全保障関連法案が衆院を通過した。野党が本会議での採決を退席、自民、公明両党などによる可決となった。与野党で折りあうのが難しい内容だとしても、国家の基本である政策をめぐり対立が先鋭化するのは不幸なことである。

 特別委員会での法案審議は116時間に達し、採決の時機が迫っていた。委員会審議で焦点になったのは、衆院憲法審査会で憲法学者が集団的自衛権の行使容認を違憲と断じたことで火がついた合憲・違憲の論争だった。

 憲法論議に時間をとられた結果、本筋の議論が突っ込み不足だった印象はぬぐい去れない。集団的自衛権の行使が可能な「存立危機事態」や、従来の周辺事態の範囲を拡大する「重要影響事態」の、定義や適用などだ。自衛隊の活動範囲はさらに詰めておくべきで、参院での審議に期待したい。

 同時に、有権者の理解を得るため大事なのは、なぜ今、安保法制かの本音の議論をすることだ。

 政府は法整備が必要な理由として、日本を取りまく安全保障環境の変化をあげる。それが何なのかの説明が不十分と言わざるを得ない。特に、急速に台頭する中国軍に対する抑止力について、あえて具体的な言及を避けている点は指摘してもいいだろう。

 もちろん現在の中国を仮想敵国や脅威と受け止めているのではない。関係改善に向けた外交努力が必要なことは言うまでもない。

 友好関係が成立していてこそ経済的な相互依存関係も深まり、日本の安全保障を確かなものにできる。軍拡が軍拡を呼ぶ「安全保障のジレンマ」に陥るようなことは避けなければならない。

 ただ中国の力がどんどん大きくなり、一方で米国の影響力が相対的に低下する中、アジアで力のバランスに変化が生じている。東シナ海や南シナ海での中国の強気な姿勢は見逃せない。一党独裁の国家では、いつ何どき何がおこるか分からない、という不透明感がどうしてもつきまとう。

 もうひとつ忘れてならないのは「60日ルール」である。法案が参院に送付され60日以内に採決しない場合、否決したものとみなして衆院の3分の2以上の再可決で成立する、とした憲法の規定だ。適用される事態になれば参院不要論が出てくるのは必至だ。参院の存在意義を示すためにも法案審議に一工夫も二工夫もしてほしい。

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