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春秋

2015/6/18付
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 「まったく困ったもんだよ。こんなに露骨なものが出てくるとは思わなかった」。往年の高校紛争を描いた盛田隆二さんの小説「いつの日も泉は湧いている」のなかで、生徒たちに理解を寄せる教師が嘆く。「露骨なもの」とは1969年10月31日に出た文部省通達だ。

▼高校生の政治活動を全面的に禁じたこの通達の論拠は、そもそも生徒は選挙権を持っていないことだった。「国家・社会としては未成年者が政治的活動を行うことを期待していないし、むしろ行わないよう要請している」。大学紛争に触発されて高校にも混乱が広がり、多くの生徒が反戦デモや集会に参加した時代である。

▼高校生=選挙権ナシ=政治活動ダメ。紛争に手を焼いてひねり出された理屈は、もう通らなくなるようだ。選挙権年齢を18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が成立した。未成年ながら選挙権を持つ生徒がたくさん生まれるわけで、文部科学省は通達を見直すという。教育界の常識を変える戦後2度目の選挙権革命である。

▼さて肝心なのは生徒諸君だ。60年代の高校生みたいにゲバ棒を振るわれても困るが、せっかく禁令まで解けるのに政治なんか知らないでは情けない。そこをちゃんと教えるのが大人の役割でもあろう。かの露骨なる通達から46年。文科省も紛争恐怖症は癒えたに違いない。ここはおおらかに、若者に政治参加を促すことだ。

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