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医療の効率化へ試される都道府県の力量

2015/3/16付
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 政府が公的医療保険制度の改革法案をまとめ、今国会に提出した。自営業者や定年後の会社員、非正規労働者らが加入する国民健康保険(国保)の財政運営を2018年度に市町村から都道府県に移すことが法案の柱だ。

 会社員やその家族が加入する健康保険に比べると、国保は加入者の年齢層が高く医療費を多く使う。その一方で加入者の所得は低めで保険料収入は伸びず、構造的に財政が厳しい。

 このような制度を市町村という小さな単位で運営していては、財政が破綻してしまうところも出てきかねない。このため、法案は都道府県単位の運営に拡大して、財政基盤を安定させるという。

 改革の方向は妥当だろう。しかし、これだけでは、増え続ける医療費を抑えることも、医療の質を上げていくことも難しい。この観点からは、昨年成立した医療介護総合確保推進法に基づき、都道府県が地域の医療ビジョンをつくるようになることの意義が大きい。

 都道府県内をいくつかの地域に分け、人口予測などに基づいて、その地域内でどのような機能を持った医療機関がどの程度必要かを定めるのが地域医療ビジョンだ。今は同じような機能の病院がいくつも存在するなど適切な医療体制ができていない地域が多い。

 そもそも人口に対して入院ベッド数が多すぎる地域もある。必ずしも必要がない入院につながり、医療費がかさむ要因ともなっている。地域医療ビジョンはこのような状態を解消し、地域に合った効率的な医療体制の構築を目指す。

 ビジョンの実現に当たっては、地域の医療関係者の自主性をまず重んじる。ただ、既存の病院の再編・縮小も必要なため、一筋縄では進まないだろう。都道府県知事には医療機関に対する要請や命令権限も与えられる。ひるまずに効率的な体制づくりに取り組んでほしい。

 地域医療ビジョンを実現し、医療費を抑制することができれば、結果的に国保の財政安定にもつながる。国保の財政を任される都道府県はこの意味でも、しっかりとしたビジョンをつくり、実現していくことが重要になる。

 効率的な医療体制をつくるには、国民・患者の側の協力も必要だ。普段は身近なかかりつけ医に診てもらい、本当に必要なときだけ紹介状を持って大病院に行くといった行動などが求められる。

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