トップ > 社説・春秋 > 記事

社説

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

人工知能の未来を注視し研究を怠るな

2014/12/21付
保存
印刷
その他

 近い将来、コンピューターが人間を上回るほどの知的な能力を備えるようになる。そんな指摘をよく耳にするようになった。

 グーグルなど米IT(情報技術)大手は人工知能技術に投資を始め、「人工知能ブーム」とすら呼べる状況が生まれている。

 コンピューターが人間を超える優れた判断力を備えるようになれば、研究開発から営業まで企業内の多くの業務の生産性向上に役立つに違いない。病気の診断や生徒たちの学習状況の適切な把握を通じ、医療や教育の質の向上にも応用ができそうだ。

 人工知能はいわば究極の情報処理技術ということもできる。日本の企業や研究機関も技術の動向を見極めて研究に取り組んでおかないと、米企業などに大きく後れをとってしまう恐れがある。

 人工知能の急速な進歩は、いま社会に膨大な量のデジタル情報が日々蓄積されていることと深く関係している。文書や画像、地図情報など多様な情報がコンピューターで読める形式で生み出されて集積され、利用可能になった。

 最先端の人工知能はこうした情報を大量に読み込み学習することを通じ判断力を磨いている。チェスや将棋といったゲームの世界で培い、人間のプロを破るまでになった実力をいよいよ実社会で試す段階に達したともいえる。

 先駆的な例として訴訟支援がある。裁判で証拠に使える情報を大量の文書や電子メールから見つけ出す作業に人工知能が使われている。人間の専門家に引けをとらぬ正確さでより速くこなすという。

 問いかけに答えてくれるスマートフォンのソフトや車の自動運転も人工知能の応用の一部だ。

 人工知能がスマホや自動車、ロボットなどに搭載され普及すればするほど、集まる情報が増え加速度的に賢くなる可能性を秘める。

 技術には光と影がある。国立情報学研究所の新井紀子教授は「コンピューターがホワイトカラーの職を奪う」と指摘する。宇宙物理学者のスティーブン・ホーキング博士ら人工知能の進歩に警鐘を鳴らす意見も目立つ。人工知能学会は社会への影響を探ろうと倫理委員会を設けて議論を始めた。

 ただ今は過剰な期待も心配も禁物だろう。まずは企業や政府が人工知能の研究を怠りなく進めることだ。同時に研究成果を公開し最先端で起きていることを社会にわかるようにしておく必要もある。

社説をMyニュースでまとめ読み
フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

保存
印刷
その他

電子版トップ

【PR】



日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報