消費再増税をここで延期していいのか

2014/11/12付
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 政府・与党内で早期の衆院解散・総選挙の観測が強まったのにからみ、来年10月に予定されている10%への消費税率引き上げを延期すべきだとの声が出ている。

 今年4月に5%から8%へと引き上げたばかりの消費税率を1年半後に10%へと再増税すれば、景気の腰折れによってデフレ脱却が遠のくとの懸念が背景にあるとみられる。

 しかし、わたしたちは、再増税を延期すれば、いずれ金融市場で日本の国債に対する信認が失われ、長期金利が意図しない形で急上昇するリスクがあると指摘してきた。

 気になるのは、財政破綻リスクを取引する市場で、日本の国債に対する信認の度合いが低下する兆しが出ていることだ。

 日本の国と地方をあわせた借金は国内総生産(GDP)の2倍を超え、先進国で最悪の財政状態にある。

 確率は低いかもしれないが、いったん長期金利が急上昇すると国・地方の利払い費が大きく膨らみ、財政破綻のおそれが強まる。

 そうなれば、年金や医療費を大幅に削減するといった激痛を伴う策をいっぺんにとらざるを得なくなるだろう。日本経済に破滅的な影響を及ぼし、デフレ脱却どころではなくなる。再増税をここで延期するリスクはあまりに大きい。

 消費税率を2段階で引き上げることは、社会保障と税の一体改革として自民、公明、民主3党が合意して決めた。高齢化で膨らみ続ける社会保障費の財源を確保するのが目的だったはずだ。

 再増税延期ならば、子育て支援などの財源も十分に用意できなくなる。仮に再増税の時期を2017年4月まで1年半延ばすとしても、実現の保証はない。

 安倍晋三政権は、本当に再増税を延期すべき経済状況かどうかを冷静に分析する必要がある。

 世界経済は米国をけん引役に回復基調を保つ。日本も消費の回復が遅れているとはいえ、政府・日銀の政策で景気下支えは可能だ。

 それでも政権が経済の先行きに不安を抱くというのであれば、10~12月期やそれ以降の景気を見極めてから再増税の是非を最終判断する手もなくはない。

 例えばリーマン危機のような深刻な事態が起きたなら再増税を延期するのが妥当だが、この時点で再増税延期を決めるのはやはり望ましくないといわざるを得ない。

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