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イスラエルに渡った「サムライ」ベンチャー支援家
榊原健太郎・サムライインキュベート社長

2014/10/9付
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 今年5月にイスラエル拠点を設置し、代表として自ら移住した。日本人が常駐している日本企業は10社弱、日本人ビジネスマンは20人強しかいない。イスラエル人からすると、代表である私が移住した、日本で積極的に活動しているインキュベーターである当社は、もの珍しい存在に見えるかもしれない。

74年生まれ、関西大学卒。大手医療機器メーカーを経て00年アクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)入社。08年にIT起業家の育成支援をするサムライインキュベートを創業
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74年生まれ、関西大学卒。大手医療機器メーカーを経て00年アクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)入社。08年にIT起業家の育成支援をするサムライインキュベートを創業

 創業期のベンチャーが利用するためのコワーキングスペースを設立し、数社の入居企業と共に仕事をしている。場所はロスチャイルド通りという、日本でいう渋谷や六本木のような、IT(情報技術)ベンチャーの集積地だ。

 サムライナイトというイベントを毎週開催し、たくさんのイスラエル人をコワーキングスペースに集めている。イベントに参加すれば、日本の文化や市場を勉強できる異文化交流センターのようなイメージだ。参加者の半分以上はベンチャーだが、会計士や弁護士、ベンチャーキャピタル(VC)などベンチャーを支える関係者も多い。

 なぜイスラエルに拠点を置いたのか。その理由は主に3つある。まず、大手テクノロジー企業がイスラエルに注目して、研究開発拠点を設置しているからだ。フェイスブック、グーグル、マイクロソフト、オラクルなど世界的な米テクノロジー企業が、現地企業を買収し、次々と研究・開発拠点を置いている。

 年に800社ほどのベンチャー企業が設立され、1人当たりのベンチャー企業数と、1人当たりのベンチャーキャピタル投資額、国内総生産(GDP)における研究・開発費の割合は世界1位だ。湧き水のように優秀なベンチャー企業が生まれ、世界的に見ても、新しい技術が出てくる地域として特異な存在だ。

 スピードが速いことも重要だ。メールなどのレスポンス(反応)だけでなく、情報の伝達速度も速い。ユダヤ人のネットワークは「密」であり、あっという間に情報が拡散され、つながりも強い。

 イスラエルのスタートアップ企業は、ほとんどが多国籍のユダヤ人で構成されるため、イスラエルにいながら世界展開が容易に成し遂げられる。シリコンバレーは世界一の優秀な頭脳を各国から集めているが、多民族ということもあり、イスラエルほど情報の伝達速度は速くないだろう。

 イスラエル人が「日本好き」「日本文化好き」であることも重要だ。正直、移住した当初は、起業家大国と呼ばれるほど世界から投資家やVCが集まる国であるため、ビジネスでは苦戦を覚悟していた。しかし、それは杞憂(きゆう)だった。イスラエル人は予想以上に日本好きだ。むかし杉原千畝氏が6000人ものユダヤ人を助けたことに対する感謝の気持ちが語り継がれているからかもしれない。

 これまでイスラエルでは日本の存在感が圧倒的に薄かったが、今年は日本から多数の政府高官がイスラエルを数年ぶりに訪問した。ビジネスではトヨタやパナソニック、ソニーなど大手企業が研究開発やM&A(合併・買収)のためにイスラエルを訪れるようになっている。

 日本企業に欠けているものは0から1を生み出すイノベーション力であり、イスラエルはそこにたけている。一方、人口が800万人と市場が小さいため、イスラエルは1から100に広げる力には欠けており、日本の得意分野だ。両者が力を合わせることで日本に新たなイノベーションを起こせるのではないか。そう考え、日本とイスラエルの懸け橋を創っている。

 この連載は変革期を迎えたデジタル社会の今を知るためのキーパーソンによる寄稿です。今回からサムライインキュベート社長の榊原健太郎氏が加わりました。

〔日経産業新聞2014年10月9日付〕

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