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農家が利用するコメ先物に

2017/8/10 2:30
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 大阪堂島商品取引所はコメ先物の正式な上場を断念し、試験的な上場期間をあと2年延ばすことになった。期限のない正式上場について、自民党がコメ価格への影響などを理由に反対したためだ。

 政府は来年、コメの生産調整(減反)制度を廃止する方針だ。本来であれば、コメの販売価格を前もって確定できる先物市場は生産者にも役立つはずだ。

 農家が自ら考えた計画で作付けし、収穫見込みの一定割合を先物を利用して価格変動リスクを抑える。米国の穀物生産者は当たり前のように行っている。

 自民党の会合でも、リスクヘッジのためにコメ先物市場は必要との声はあり、所轄官庁の農林水産省も堂島商取が申請した正式上場を認可する方向にあった。

 しかし、最後は投機的な先物取引が現物のコメ価格に影響しかねないと懸念する農業と関係の深い政治家の慎重論に押し切られた。

 安倍政権は農家に経営感覚を求める農業改革を推進しているはずだ。コメ先物に旧態依然とした拒否反応を示し、家畜飼料米への転作誘導でコメ価格を下支えしようとする発想は農業改革と矛盾する。活発な市場取引を通じて競争力を高める政策を徹底すべきだ。

 コメ先物は2011年に堂島商取の前身である関西商品取引所と、解散した東京穀物商品取引所が試験上場し、すでに2度、試験期間を延長している。これまでの6年間で大手コメ卸などが取引に加わり、現物調達の場として機能するようになったことは前進だ。

 一方で、取引所にも課題はある。昨秋上場した「新潟コシヒカリ」などの効果で取引は増加傾向にあるとはいえ、平均売買高は東穀取が上場時に掲げた目標の半分以下にとどまる。

 堂島商取には大規模な農業法人や先進的な農業協同組合から市場に引き込み、コメ先物の利用を広げていく戦略が要る。農家が参加し、売買高が増える実績を取引所が示せば、自民党内の反対意見も消えるはずだ。

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