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企業は賃上げと成長投資にも資金を回せ

2017/8/1 2:30
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 企業は従業員への賃金支払いや成長投資、さらに株主への利益還元などを通じて、経済の血流ともいえる資金循環を促している。企業のお金の使い方は日本経済の活性化という視点からも一段と重要になってきた。

 改めてそう痛感するのは、過去最高の水準に達した企業の手元資金が、さらに積み上がる可能性が浮上しているからだ。

 ゴールドマン・サックス証券の調べでは、上場企業の2017年1~6月の自社株買い総額は2.2兆円と、16年の同期に比べほぼ半減した。日本企業は株主に報いるため13年から4年続けて自社株買いを増やしたが、今年は5年ぶりに減少する公算が大きい。

 一方で、上場企業の前年度末の手元資金は1年前から約3兆円増え、過去最高の112兆円に達している。自社株買いの減少傾向が続くようだと、企業の資金余剰はさらに強まる。

 自社株買い減少の背景のひとつに挙げられるのは、上場企業の自己資本利益率(ROE)が平均9%弱にまで上昇していることだ。株主の最低限の要求水準とされる8%を上回っているため、お金の使い方の比重を株主還元から別の分野にも少し移そうと考える企業が増えているようだ。

 では、どこに資金を回すべきか。余力のある企業は積極的な賃上げをためらうべきではない。抑制気味だった賃金の引き上げは、企業にとって良い人材の確保や競争力の向上につながる。経済全体の視点に立っても、物価上昇の圧力を強め、持続的な成長の循環を確かなものとする。

 さらに、投資だ。ROEの8%目標を達成した企業のなかには、国内での生産増強や新規出店といった成長のための投資に優先的に資金をふり向ける動きが出てきた。企業の前向きな投資は経済の活性化に欠かせない。

 短期的には、人手不足に対応するための省力化投資を増やす企業も多い。日銀の分析によれば、省力化によって労働生産性は上昇するものの、賃金上昇の圧力は吸収され、物価の伸びが抑えられる要因にもなっている。

 省力化だけでは企業の成長基盤は広がらない。事業のアイデアに対応して政府が関連する法規制を一時凍結する「サンドボックス」制度の活用なども視野に入れ、企業は新しいビジネスや投資機会の創造に力をいれてほしい。

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