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9年目の米景気拡大の先に政治の不安

2017/7/30 2:30
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 2009年7月に始まった米国の景気拡大局面は今月で9年目に入り、戦後3番目の長さとなった。ただ、年平均の成長率は2%程度にとどまり、過去の回復局面に比べると低い水準にとどまっている。米経済はなお多くの課題を抱えているが、特に心配なのは政治の機能不全に伴う政策の停滞だ。 米商務省が28日に発表した4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前期比年率換算で2.6%増と、1~3月期の同1.2%から加速し、3四半期ぶりの高い伸びになった。雇用増加で消費が拡大、新興国など海外経済の回復で輸出も増えている。

 とはいえ、先行きには課題は多い。失業率が下がり雇用は増えているものの、好調な企業収益の割には賃金の上昇は鈍い。日本ほどではないが米国でも高齢化などで労働力人口の伸びが鈍っており、生産性向上による潜在成長率引き上げが課題となっている。

 景気拡大期間は長くなったが本調子とは言えない米経済。その先行きに大きな不安をもたらしているのが政治の混迷である。

 トランプ米大統領が昨年の大統領選で主要公約に掲げた医療保険制度改革法(オバマケア)の見直しは身内の共和党内の調整に失敗し、実現のめどが立たない。そのあおりで、もう一つの主要公約の税制改革や、インフラ投資など経済活性化策も遅れている。

 国際通貨基金(IMF)は最近、こうした政策への不透明感から米国の今年と来年の成長率見通しを下方修正した。

 政権内の人事のゴタゴタも続いている。21日にスパイサー大統領報道官が辞任したのに続いて、28日にはホワイトハウスの要のプリーバス首席補佐官が更迭された。さらにトランプ氏はロシア疑惑をめぐりセッションズ司法長官に不満を表明するなど、混乱がおさまる気配はない。

 トランプ氏はツイッターなどで米経済の強さを自慢しているが、足元の経済の堅調さはトランプ政権の政策がもたらしたものではない。トランプ政権には、さらに米国の成長力を高めるための、中長期的な経済構造改革を進めることが求められているのである。

 トランプ氏は来年2月に任期が切れるイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長を続投させるか、交代させるかの重大な決断も近々しなければならない。米国の政治のこれ以上の停滞は許されない。

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