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自衛隊の隠蔽体質ただせぬ政治の無力

2017/7/29 2:30
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 日本の国防に対する信頼を損ないかねない異常な事態である。南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題を巡り、稲田朋美防衛相、黒江哲郎防衛次官、岡部俊哉陸上幕僚長が辞めることになった。統率力を発揮できない稲田氏の交代は遅きに失した。政府は体制を早く立て直す責任がある。

 稲田氏は28日に安倍晋三首相に辞表を提出し、受理された。記者会見では辞任理由について「防衛省・自衛隊の情報公開に対する姿勢に疑念を抱かせた。国内外で日々任務に当たる隊員の士気を低下させかねない」と語った。

 防衛監察本部は同日、日報問題に関する特別防衛監察の結果を公表した。それによると南スーダンで武力衝突が起きた昨年7月の派遣部隊の日報があるにもかかわらず、陸上自衛隊は情報公開請求に対し意図的に開示を見送った。

 防衛省は再調査により統合幕僚監部で見つかった日報を今年2月に公表したが、陸自のもともとの日報の存在は伏せたままにする判断を次官らも追認した。陸自内に残る日報の存在を稲田氏が知っていたかどうかは認定を避けた。

 部隊の派遣先の治安情勢は隊員の安全だけでなく、活動継続の判断にもかかわる。組織で共有する行政文書の意図的な非開示や破棄は、情報公開法に違反する。

 陸自は当初の誤った判断に縛られ、防衛省幹部の事なかれ主義が是正の機会を失わせた。最終的に政治家である防衛相が事実を把握し、適切に指示をする文民統制の仕組みも機能していないという重大な問題をはらんでいる。

 稲田氏は、学校法人「森友学園」の訴訟への弁護士時代の関与を国会で全面否定したあと、すぐに撤回と謝罪に追い込まれた。東京都議選では防衛省・自衛隊が自民党候補を応援しているかのような発言をした。それでも首相は野党の罷免要求を拒み続け、政権への批判を強める結果となった。

 北朝鮮の核・ミサイル開発などにより国際情勢は緊張している。防衛相はいざとなれば自衛隊を統率する立場であり、他の閣僚に増して首相の任命責任は重大だ。

 野党は日報問題の経緯や隠蔽に至る組織の構造的問題を議論するため、国会の閉会中審査を早期に開くよう求めている。政府・与党は稲田氏出席の上でこれに応じるとともに、新たな体制での防衛省・自衛隊の立て直しに全力をあげてもらいたい。

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