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政労使合意なくても労基法改正を確実に

2017/7/28 2:30
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 労働時間ではなく成果に対して賃金を払う「脱時間給」をめぐって、連合がいったん転じた制度化の容認方針を撤回した。働き手の健康を確保する対策の強化などを内容とした政府、経団連との法案修正の合意は見送る。傘下の労働組合の強い反発が背景にある。

 脱時間給は社会の変化に応じた制度なだけに、連合の執行部が組織をまとめきれなかったのは残念だ。政労使合意は交わせなかったが、成長戦略の観点からも制度の創設を盛った労働基準法改正案は早期成立が求められる。秋の臨時国会で確実に成立させるべきだ。

 長時間労働を助長するとして改正案に反対してきた連合は、このまま法案が成立する事態を避けようと、一時歩み寄りをみせた。脱時間給の利用者には年104日以上の休日取得を義務づけることなどを条件に、この制度を事実上容認する姿勢を政府に示した。

 執行部も想定できなかった反発は新制度に対する労組の拒否反応の強さを表す。しかし、この制度を設ける意義は大きい。

 経済のソフト化・サービス化が進み、成果が働いた時間に比例しない仕事が増えている現実がある。働く時間が長いほど生産が増える工場労働なら時間に応じて賃金を払うことが合理的だが、企画力や独創性が問われるホワイトカラーにはそぐわない。成果重視を前面に出すことで、脱時間給は働く人の生産性向上を促せる。

 脱時間給は長時間労働を招きかねず、残業を規制する動きと矛盾する、とも指摘される。だが新制度では本人が工夫して効率的に働けば、仕事の時間を短縮できる。その利点に目を向けるべきだ。

 今回の混乱を通じ、制度の課題も浮かび上がった。政府は連合から提案のあった休日取得の義務づけなどを前向きに検討し、法案に反映する構えだ。妥当だろう。

 いまの法案では対象者が高収入の一部の専門職に限られるが、今後広げていくのが望ましい。そのためにも健康確保の対策の充実は必要だ。各企業が休日増など独自の対策を講じる手もある。

 労基法改正案には、仕事の時間配分を自分で決められる裁量労働制を提案型の営業職などに広げることも盛られている。この制度も生産性向上への意識を高める。

 政府は改正案を国会に提出後、2年余り棚ざらしにしてきた。働き方改革への姿勢が問われていることを自覚すべきだろう。

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