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生産性向上が伴う最低賃金引き上げに

2017/7/27 2:30
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 働いた人には少なくともこれだけは支払わなければならないという最低賃金が、2016年度に続き17年度も大きく上がる見通しになった。厚生労働省の中央最低賃金審議会は、都道府県ごとに定める最低賃金の引き上げ幅の目安を全国平均で時間あたり25円とすることを決めた。昨年度と並んで過去最大の上げ幅になる。

 最低賃金の引き上げは消費を刺激し景気の拡大を後押しする効果がある。半面、中小企業の人件費を増やし経営悪化の要因にもなりうる。企業の負担が和らぐよう、政府は生産性向上を支援する政策に力を入れる必要がある。

 安倍政権は時給1000円をめざして最低賃金を毎年度3%程度引き上げる方針を掲げる。今年度の25円は3%にほぼ相当し、政府方針に沿ったものだ。全国平均の時給は848円になる。

 平均賃金に対する最低賃金の比率がフランスは6割あり、英国も5割を超えているという分析がある。日本は4割にとどまっており、国際的にみて低い水準にある最低賃金を引き上げていく必要があるのは確かだ。非正規社員の待遇改善にもつながる。

 ただ12年末に第2次安倍政権が発足してから、最低賃金の上げ幅は今年度を合わせ計100円近くになる。急激に最低賃金が上がることで中小企業の倒産が増える懸念もあるだろう。

 実際の引き上げ幅を決める各都道府県の地方最低賃金審議会は、地域経済の現状や地元企業への影響を十分に調べたうえで上げ幅を判断すべきだ。

 求められるのは最低賃金の引き上げと企業の生産性の向上が歩調を合わせ進むことだ。そのための環境整備が政府の役割である。

 成長分野への企業の進出を阻んでいる制度を見直すなど、規制改革をもっと強力に進めてもらいたい。IT(情報技術)活用の支援や人の能力を高める職業訓練の充実も欠かせない。

 大企業が中小企業に過度な値下げ要求をするなど、不公正取引の監視もいっそうの強化が求められる。仕入れ代金を不当に安くする「買いたたき」などが残ったままでは、中小企業は賃金の原資を確保しにくくなる。

 もちろん企業自身、低賃金の労働力に頼らずに利益を上げる努力が求められる。人手不足による人件費増を吸収できるだけの経営改革を進めるときだ。

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