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春秋

2017/7/20 2:30
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 水をため、いつでも使えるようにするダムにならって、企業も設備や資金に一定の余裕を持つべきだ――。松下幸之助氏が「ダム経営」と名づけたやり方を説いたのは、企業トップが政治や経営のあり方を議論する関西財界セミナーでだった。1965年2月のことだ。

▼「資金をダムに入れておき、必要に応じて使う。要らないときにはダムで余らせておく。こういうことをやらなくては、安定経営は生まれてこない」。前年の東京五輪後の景気減速で企業の倒産が広がり始めていたときだけに、松下氏の話は聞き手の心に響いたのだろう。ダム経営はその後、多くの経営者の指針になった。

▼そうした蓄え重視の姿勢が、やや強すぎるのではないかと思わせるのが最近の企業の懐具合だ。現預金やすぐに売却できる有価証券など、企業が自由に使えるお金を表す手元資金は2016年度末、上場企業全体で110兆円規模と過去最高水準にある。「経営の神様」の影響力はいまなお大きいといえるのかもしれない。

▼ダム経営の宣言後も、松下氏の創業した現在のパナソニックは投資すべきところには投資していた。海外の製造販売拠点づくりや研究所の拡充などだ。グローバル化や技術革新への備えといえた。きょうから経団連は経営者の議論の場である夏季フォーラムを開く。変化を乗り越える積極投資を呼びかける経営者は出るか。

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