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春秋

2017/7/13 2:36
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 昭和の世相史には、しばしば「押し屋」が登場する。ラッシュの駅で、満員電車に客をぎゅうぎゅう押しこむ係のことだ。1955年10月、国鉄新宿駅のホームにアルバイト学生の押し屋が初めて出動したという。しがみつく人を引きはがす「はがし屋」もいたそうだ。

▼そういう時代に比べたら、昨今のラッシュはだいぶましになった。とはいえ国土交通省による2015年度の混雑率データを見ても、朝のピーク時にはJR総武線各停の錦糸町→両国、東京メトロの木場→門前仲町など200%近い混みようの区間が珍しくない。ずっと昔の新語「痛勤」という言葉は、いまも健在である。

▼この風景を変えられるのかどうか。東京都が「時差Biz(ビズ)」なるキャンペーンを始めた。小池百合子知事らしいネーミングだが、要するに時差出勤やフレックスタイムのススメである。小池さんは満員電車解消を公約に掲げていたからどんな秘策を繰り出すかと思っていたが、やはり、打つ手は限られるのだろう。

▼もっとも、こうした動きは働き方の多様化にもつながるはずだ。デジタル化が進み、職場で顔をつき合わせずともできる仕事は多い。部下のふるまいが何かと気になる上司は物足りないだろうが、在宅勤務は時代の流れなのだ。いやいや、会社へ行ってこそ――と張り切る人を引きはがすのはなかなか大変そうではあるが。

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