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春秋

2017/7/12 2:30
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 1880年(明治13年)、1枚紙の出版物が刊行された。タイトルは「刑罰軽重一覧」。毒物ヲ以テ人ヲ殺シタル者、は死刑。通行禁止ノ禁示ヲ犯シテ通行シタル者、は5銭以上50銭以下の科料――。こんな具合に、犯罪の種類とそれに対応する刑罰が明記されている。

▼江戸から明治へと、世の中が大きく変わっていった時代である。刑法も新たに制定された。しかしこの文書を所蔵する国立公文書館によると、当時の国民にとって、どんな罪を犯せばどんな刑に処せられるのかを知ることは容易ではなかった。そこで一般の人々の要望にこたえる形で一覧が編集され、世に出たのだという。

▼平成のいまこそ新たな刑罰一覧が必要なのかもしれない。評判の悪い共謀罪の看板を掛け替え、テロ等準備罪として新設する法律がきのう施行された。一般人も処罰の対象なのか、何をすれば警察に目を付けられるのか。先の国会ではこうした点が明確にならないまま審議が打ち切られ、法律が通ってしまったからである。

▼成立ありきで進んだことで、法の運用は捜査現場に丸投げされる形になった。国会での法相答弁など思い返すにつけ、政府のお歴々も本当のところはよく分かっていないのではないか、との不安がよぎる。かりに共謀罪版の刑罰一覧が出版されたとしても、国民にとってはちんぷんかんぷんな内容になってしまいかねない。

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