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朗読で眠り誘う 不眠解消にポッドキャスト
瀧口 範子(フリーランス・ジャーナリスト)

2017/7/3付
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 調べ物をしていて興味深いサイトに行き着いた。『コーム(Calm)』という、眠気を誘う物語やリラックスするための物語を集めたサイトだ。

「Calm」など眠気を誘う物語を集めたサイトが増えている
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「Calm」など眠気を誘う物語を集めたサイトが増えている

 物語は、文字で読むのではなくてポッドキャストとして音声で提供されている。動画はないが、まるでラジオ小説を聞くような感じで音声で語られる。プレー・ボタンを押せば、穏やかな口調でストーリーが始まる。

 無料の物語がいくつかあるので試してみた。サイトには、入眠のための物語、瞑想(めいそう)のための物語などと分類がある。入眠の物語の中も、フィクション、音楽、子供のための物語、自然をテーマにしたエッセイ、ノンフィクションなどに分かれている。

 入眠や瞑想といったコーナーのほかに、マインドフルネスのアドバイスというコーナーもある。マインドフルネスは「心を落ち着かせて、いまこの時を享受しよう」という教えで、米シリコンバレーでも関心をもつ人が多い。いずれの物語も、聞いているうちに穏やかな気分になるように考えられており、ともかく心を落ち着けたいという人々をサポートする意図で構成されているようだ。

 聞いてみたのは、入眠のための『滝の物語』だ。まず冒頭で、物語を聞くためのリラックスした体勢を指導してくれる。「まずベッドに入って体の力を抜き……」「これまでとは違ったこれからの時間のために、ゆったりとし……」「息を深く吸って、はいて……」とことばが続く。そうして物語が始まる。

 物語は、深く心を穏やかにしてくれる音を耳にした女性が、その正体を探して町から森へ足を進めていく話だ。風景の変化や主人公の心の変遷、新鮮な空気感などが、忙しい心をリラックスした状態に導いてくれるように考えられている。

 読み手の声や口調も、チャーミングで親み深い。実際に滝が出てくるのは、物語も終盤に近づいたころである。物語が終わる約20分後には、聞く人も眠りに落ちているのが理想なのだろう。

 調べてみると、この手の眠りやリラクゼーションをサポートするサイトがすでにいくつかある。

たきぐち・のりこ 上智大外国語(ドイツ語)卒。雑誌社、米スタンフォード大客員研究員を経てフリージャーナリストに。米シリコンバレー在住。大阪府出身。

たきぐち・のりこ 上智大外国語(ドイツ語)卒。雑誌社、米スタンフォード大客員研究員を経てフリージャーナリストに。米シリコンバレー在住。大阪府出身。

 例えば、男優のジェフ・ブリッジズ氏が作っている『Sleeping Tapes』というサイトでは、彼自身が採取したという自然の音やゆったりとした音楽、ザラザラした彼の声で構成されたテープが録音されている。物語というよりは、環境音楽や一人芝居の前衛演劇を聞いているようで、空間の奥行きが伝わってくる。数分間のテープが十数本あり、次々と再生されるしくみだ。

 『スリープ・ウィズ・ミー・ポッドキャスト』というサイトは、「はやるあなたの心を紛らわす退屈な物語」を集めたとうたう。ラジオ番組のような語りなどのコンテンツが長々と続く。これと言った深い意味がないのがかえって効果的でもあるようだ。

 ストリーミング・サービスのスポティファイにも、『誘眠サウンド・ライブラリー』がある。数分間の「雨の音」や「遠雷の音」などが聞ける。雨の音は入眠に役立つことが知られており、スポティファイでは静かな雨音、屋根の上に雨の落ちる音、雨嵐などを幾種類も集めている。驚いたことに、「オフィスの空調音」も誘眠サウンドのひとつに加えられている。仕事中に眠くなるのも無理はないということか。

 アメリカ人の30~50%は不眠に悩むとされる。スタートアップ企業には、不眠問題を解決しようと、睡眠をモニターするウエアラブル製品や部屋に置くデバイスなどを開発するところも多く、さらにまぶたや脳に刺激を与えて眠りを誘おうとする試みもいくつかある。

 一方、こうしたサイトは、音や声によって寝入りを助けようというシンプルなもの。だが、子供の頃にベッドで絵本を聞かせてもらったような安心感があると、結構人気のようだ。

[日経MJ2017年7月3日付]


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