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春秋

2017/6/30 2:30
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 ラブ・コネクション。薬物の密輸に使われる手口の一つである。犯罪組織のメンバーが言葉巧みに日本人女性に近づき、恋愛感情を利用して運び屋に仕立て上げる。取り締まり当局から警戒されにくいし、入国時に見つかっても、見捨ててしまえばすむから便利なのだ。

▼報酬を渡す、旅先で親切にする、弱みを握って脅す。今も昔も、犯罪組織はあの手この手で運び屋の確保に知恵を絞る。こうして日本に密輸される「ブツ」で最近目立っているのが、金塊である。昨年6月までの1年間に全国の税関が処分した金の密輸事件は294件に上る。前の年の1.7倍に増え、過去最高だという。

▼金は正規に国内に持ち込めば、税関で消費税を支払わなければならない。だが無税の外国で買って密輸入し、消費税分を上乗せして国内で売ればその額が丸もうけになる。そこで体に巻き付け、土産物の中に埋め込み、次々とやって来る。税率が8%に上がり、金の価格も上昇していることが不正を後押ししているようだ。

▼ギリシャ神話のミダス王は、触れるものすべてを黄金に変える力を望み、手に入れた。しかしパンや水まで黄金に変えてしまい、ようやく愚かさを悟る。現代ニッポンでの金への執着は密輸にとどまらず、金の売買にからんだ現金の強奪事件まで生んでいる。愚かさを悟らせるには、税関や警察に奮闘してもらうしかない。

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