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春秋

2017/6/26 2:30
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 上ル下ル西入ル東入ル。京都の街は住所の示し方が独特で、よそ者はまずこれにまごつく。しかしベテランのタクシードライバーは、客にけっして余計な気を使わせないようだ。「どんなホテルでも旅館でも神社仏閣でも名前をどうぞ。ぜーんぶ、頭に入ってますから」

▼ところが最近は、外国人旅行者を乗せて途方に暮れることが多くなったという。宿泊先を書いた紙には○○マンション、××アパートなどとあるだけ。ふつうの民家が目的地であることも多いらしい。「こうなると、さすがに僕らでも見当がつきませんわ」。つまり民泊を利用する人たちが、どんどん増えているのである。

▼客は安く泊まれる。家主は遊んでいる部屋を貸せる。シェア経済がたくましく育っているのはたしかだが、その多くが無許可とみられている。市の推計では、違法民泊の利用者が昨年は110万人にのぼるという。1年間に訪れる修学旅行生の数と同じ規模である。ゴミ出しや騒音のトラブルもまた、住民の心配のタネだ。

▼民泊の普及を後押しする法律が成立し、来年にも施行される。ルールづくりがようやく追いついてきたわけだが、自治体では独自に規制を上乗せする動きも目立つ。秩序を保ちつつ、需要にきちんとこたえるにはどうしたらいいのだろう。「難儀なことやなあ」。京都を知り尽くした運転手さんも、ぼやくばかりであった。

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