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春秋

2017/6/17 2:30
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 イタリア・ルネサンス期の政治思想家マキャベリは「君主論」の中で、国のリーダーは「恐れられる存在であらねばならない」と書いた。なぜ、そう考えたのか。市民の力は侮れない。だから反旗を翻さないよう抑えておく必要がある、と思っていたからかもしれない。

▼マキャベリの思想は世論の力に着目していたことも特色のひとつと研究者は指摘する。フィレンツェ政庁の行政官経験が背景にあるとされる。リーダーは信義を重んじ、隠しごとをすることのない人物と思われるよう、気を配らなくてはならないとも説いている。見せかけであっても、そう思われることが大事なのだ、と。

▼君主論執筆から約500年。世論への敏感さは衰えたのではないか。学校法人「加計学園」の獣医学部の新設問題で、「総理の意向」などと記された文書について文部科学相は「確認できない」と言ってきたが、後から出てきた。それでも文科相によれば前回調査は「合理的」なのだそうだ。批判が上がるのも無理はない。

▼事実上の国会最終日のきのう、首相も出席して開いた参院予算委員会の集中審議でも、学部新設の行政手続きが適正だったかどうかははっきりしなかった。政府の説明責任の果たし方に疑問符はついたままだ。「民の声は神の声に似るというのも、いわれのないことではない」。そう書いたマキャベリとの差は小さくない。

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