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米の緩やかな利上げは長期安定に貢献

2017/6/17 2:30
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 米国が今年2回目となる利上げを実施した。前回同様、金融市場は冷静に受け止め、波乱は起きなかった。米国経済は順調に拡大を続けており、緩やかな利上げの継続は長い目で見た内外経済の安定に貢献するとみていいだろう。

 利上げを決めた米連邦準備理事会(FRB)の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、量的緩和で膨らんだ保有資産の圧縮を年内に始める考えも示した。計画的に圧縮幅を拡大していく方針だが、経済や金融市場の動向に目配りすることも重要になる。

 米国内では物価上昇率がこのところ伸び悩んでいることから、利上げは不要という見方もあった。だが、企業の設備投資や個人消費はおおむね堅調で、労働市場も完全雇用に近づきつつある。

 今回の利上げでも物価上昇分を引いた実質金利はなおマイナスで緩和的な環境が続く。そのことも考えれば、決定は妥当である。

 また、昨年暮れから半年で3回の利上げにもかかわらず、米長期金利はむしろ低下傾向にあり、信用度の低い社債の利回りも低く抑えられている。商業用不動産向けの融資膨張など気になる動きも出ていた。

 緩い金融環境を放置すれば、いずれ金融市場が不安定になる心配もある。政策当局にとってはこうした点にも配慮する必要があったとみられる。

 経済が改善を続ければ、今後も緩やかな利上げを継続し、資産圧縮に動き始めることは理にかなっている。

 ただ、政策のかじ取りは難しさを増す可能性もある。1つは失業率がさらに低下しても賃金が伸び悩み、物価上昇率が目標の2%へ進む道が見えなくなった場合だ。物価が上がりにくい「日本化」の懸念だが、そうなれば政策の見直しを迫られるかもしれない。

 2つ目はトランプ政権の経済政策が迷走するリスクだ。減税やインフラ投資の規模や実施時期はどうなるか、その財源はどう賄うのか。保護主義的な政策に本格的に動くのか。こうした政権の政策動向からも目が離せない。

 米国が適切な金融政策運営の下で息の長い成長を続けることは日本や世界経済にとってプラスだ。米利上げが、中国を含む新興国からの資金流出につながる恐れは消えていないが、市場との対話を密にしながらそうしたリスクを最小限にとどめることが求められる。

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