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酒の官製値上げは不健全だ

2017/6/15 2:30
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 スーパーなどでビール類の値上げが広がっている。酒税法の改正で酒の安売りへの規制が強化された結果だ。街の酒販店を保護し税収を確保するためと政府は説明するが、値上がりは消費を冷やすだけでなく、酒販店の経営改善にもつながらないのではないか。

 新たな規制では、仕入れ値に人件費などを加えた総販売原価を下回る価格で販売していると国税庁が判断した場合、社名を公表したり改善命令を出したりする。効果がなければ罰金や販売免許取り消しなどの厳しい罰則が待つ。

 現実には、企業努力による値引きと、不当な安売りとの明確な線引きは難しい。小売りの現場には「何が過度な安売りか、基準がわかりにくい」との声がある。

 小売業者は問題視されるのを避けるため、価格を決めるときに安売りを自粛せざるをえなくなる。結果として消費者の負担は増えていく。流通業の健全な競争を阻害しないためにも、罰則などについては慎重な運用を望みたい。

 不当廉売の防止に関しては、これまでも独占禁止法に基づき公正取引委員会が摘発する仕組みがあった。なぜ法改正してまで酒だけを特別扱いするのか。一般の消費者には理解しづらいだろう。

 今回の酒税法改正は、地方などの中小酒販店の要望を受け議員立法で実現した。しかし長い目でみて、価格競争から守ることが本当に街の酒販店の存続や繁栄に役立つだろうか。

 量販店にはない個性的な品ぞろえや独自のサービスなど、地域に密着した創意工夫を重ねる方が、市場の開拓や固定ファンづくりに役立つのではないか。ユニークな小売店が増えれば地域の魅力も増し、観光振興にもつながる。

 発泡酒なども含めたビール類の市場は長く縮小し続けている。消費者の嗜好の多様化や健康志向の高まりの影響が大きい。メーカーの一部には今回の安売り規制を歓迎する空気があるが、高くても売れる魅力的な商品の開発に力を入れることも忘れてはならない。

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