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「迷子の土地」生かす法制度の整備急げ

2017/6/15 2:30
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 このまま放置すれば大変なことになるだろう。所有者がわからない「迷子の土地」が全国で増えている問題についてだ。

 法務省は先日、全国10地区を対象に相続登記に関する初の実態調査を実施した。最後に登記されてから50年以上たつ土地が中小都市・中山間地域で26.6%、大都市でも6.6%あった。

 こうした土地は当時の所有者が亡くなった後も放置され、現在の所有者がすぐにわからない可能性がある。山林や田畑だけでなく、大都市の宅地でも5%以上が登記から50年以上過ぎている。

 迷子の土地が増えると、公共事業や災害復旧の際に用地を迅速に取得できなくなる。実際、東日本大震災で高台に被災者向けの宅地を整備した時に問題になり、早期の復興の妨げになった。

 所有者がわからなければ固定資産税の徴収も難しくなる。農地の規模拡大や地籍調査でも障害になっている。

 一般に土地を取得したり、相続したりする場合は新たに登記するが、義務ではない。このため、管理する手間や費用負担を避けるために登記をしなかったり、相続放棄したりする人が増えている。

 背景にあるのはバブル経済の崩壊をきっかけとする土地に対する意識の変化だ。かつては土地を資産とみる人が大半だったが、地価下落で土地を保有する魅力が薄れている。伝統的な地縁・血縁社会が崩れてきたことも一因だろう。

 このままでは国土を適切に管理できなくなる。まずは、国と自治体が協力して、死亡届が出された段階で登記の重要性についてもっとていねいに説明する必要がある。不動産の総合的なデータベースをつくるのも一案だ。

 所有者がわからなくても土地を有効活用できる法制度も要るだろう。農地ではすでに、一定の手続きをすれば都道府県知事の裁定で田畑に「利用権」を設定し、第三者に貸与できる仕組みがある。他の土地でも同様な制度を早急に整えるべきだ。

 不動産登記のあり方も見直してはどうか。ひとつの宅地でも区画(筆)が分かれていれば別々な手続きが必要になるなど、登記は煩雑すぎるという声が多い。

 政令市長で構成する指定都市市長会は、不動産登記の義務化や相続登記の税負担の減免を国に求めている。政府はこの点も真剣に検討してほしい。

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