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丸紅のUAE太陽光 天然ガスより安く、発電コスト2円台
編集委員 松尾博文

2017/6/15付
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 丸紅がアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国で大規模太陽光発電事業に着手した。特徴は100万キロワットを超える巨大な出力と、1キロワット時あたり3円を切る発電コストの安さだ。世界的にコスト低減が進む太陽光発電でも飛び抜けて低い価格を可能にする秘密は何なのか。

「スワイハン太陽光発電事業」の完成予想図
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「スワイハン太陽光発電事業」の完成予想図

 丸紅が取り組む「スワイハン太陽光発電事業」の稼働は2019年4月の予定。中国の太陽光発電パネルメーカー、ジンコソーラー(江西省)やアブダビ水電力省と、アブダビの東120キロメートルの内陸部に発電所を建設・運営する。発電した電力は25年間、アブダビ水電力会社に販売する。

 丸紅・ジンコ連合は5陣営が参加した入札で、1キロワット時あたり2.42セントの最安値で事業権を獲得した。

 再生可能エネルギー導入の拡大とパネル生産コスト低減により、太陽光の売電価格は多くの国で同8~10セント程度まで下がってきた。16年には南米チリとUAEのドバイ首長国で同3セントを切る案件が出現し、世界を驚かせたが、スワイハン・プロジェクトはこの記録を塗り替えた。日本の固定価格買い取り制度が定める太陽光(非住宅用)買い取り価格は今年度、同21円。これと比べると8分の1の水準だ。

 驚異的な発電コストを可能にする理由はまず、その事業規模だ。117万7千キロワットの出力は、原子力発電所に匹敵する。発電所の面積は7.9平方キロメートル。東京ドーム166個に相当する土地に太陽光パネル約300万枚を敷きつめる。

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 それを供給するのがジンコだ。同社は太陽光パネル出荷量で世界のトップ争いに加わる。パネルの生産・販売だけでなく発電事業への進出を目指しており、アブダビへの投資を本格進出の足がかりにしたい考えだ。

 有力メーカーと組むことで設備投資のコストを抑える効果を期待できる。中東は晴天が多く、日本などと比べて日射量が多いことも有利だ。砂漠地帯での太陽光発電はパネルを覆う砂ぼこりを取り払う作業が課題だが、その費用を織り込んでも発電コストをここまで下げられるという。

 無視できないのが、丸紅の経験だ。電力分野を重点事業に位置付ける同社でもアブダビは特別な場所だ。00年代の初頭以来、天然ガスを燃料に使う発電造水事業で4件の実績がある。総発電量はアブダビの電力需要の2割を満たす。

 動乱のイメージの強い中東だが、アブダビは国内のインフラ開発・運営への外資導入を早くから進めてきた。そこで実績を積み上げてきた丸紅は同国の電力事情や投資制度を熟知する。担当者は「アブダビ市場への信頼感は入札に強気で臨む要因になった」と語る。

 今回のプロジェクトは政府から土地を借り受ける。アジアなどでの発電事業で常に課題となる居住者との折衝や土地収用の問題は生じない。太陽光や風力発電は天候や時間によって発電量が変動するが、丸紅は売電の際に一定量に保つ調整の責任は負わない。

 アブダビでは太陽光の売電単価が同3セントを切ると、天然ガス発電のコストより安くなるという。中東産油国は石油や天然ガスを国内消費でなく、外貨を獲得する輸出に回したいのが本音だ。サウジアラビアやクウェートでも大規模太陽光の計画が進む。中東湾岸での再生エネをめぐる競争が熱を帯びそうだ。

[日経産業新聞2017年6月15日付]


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