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企業は国際化へ強固なグループ統治を

2017/6/14 2:30
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 「またか」の念を禁じ得ない。富士フイルムホールディングス傘下にある富士ゼロックスの海外販売子会社で不適切な会計処理が発覚し、累計375億円の損失が発生したことだ。

 日本企業の海外事業に関連した損失としては、東芝の米原発子会社が実施した買収で、減損損失が発生したことが記憶に新しい。海外を含めたグループの企業統治(コーポレートガバナンス)の弱さが損失を招いた点で、2つの例には共通点がある。

 日本企業が成長の見込める海外市場に進出するのは自然な流れだ。しかし、業務拡大を急ぐあまり、海外で本社の監視が行き届きにくい部分が広がってしまっては、成長の持続性が揺らぐ。国内外を一体的に管理する統治体制は、企業がグローバル化を進めるうえで必須の要件だ。

 富士フイルムが75%を出資する富士ゼロックスはもともと米社との折半出資だったため、独立意識が強かった。不適切会計の記者会見では富士フイルムの助野健児社長が「遠慮があった」と語り、グループ統治が機能していない実態が明らかになった。

 まして、不適切会計の舞台となった富士ゼロックスのニュージーランドとオーストラリアの販売子会社は日本から距離的にも遠く、経営実態の正確で迅速な把握は難しかったようだ。

 グループ統治の弱さに加え、富士ゼロックスの「売り上げ至上主義」ともいうべき社風が、リース契約をごまかすことによる売上高の水増しを招いた。

 不適切会計の再発を防ぐため、富士フイルムは企業統治の強化を打ち出した。古森重隆会長が富士ゼロックス会長を兼務するほか、取締役会の人数を12人から9人に減らし、社外取締役を3分の1にするという。

 いずれも、形のうえでは妥当な策といえるだろう。今後は統治の実効性をいかに高めるかが問われる。古森会長らが富士ゼロックスの海外情報を迅速につかめるような体制を整えたり、国際経験の豊富な人材を取締役に招いたりといった、対策の細部の具体化が急がれるところだ。

 日本の企業統治は、国内子会社に関する限り、一定の改善が見られると評する向きもある。海外事業を特別視せず、グループ統治の基盤を強めることが日本企業の次の課題となる。

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