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国際競争力高める漁業の構造改革急げ

2017/6/13 2:30
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 政府は水産業の発展に向けた基本計画を決めた。漁業の生産性を高め、国際競争力のある経営体に漁業生産の9割を担わせる姿をめざす。だが、現実は零細な漁業者が大勢を占め、大規模な経営体は減少傾向にある。漁業経営の合理化には、漁業権制度や漁業協同組合の改革が不可欠だ。

 政府が5年ごとに見直す基本計画で養殖業への企業参入や規制緩和を打ち出したことは評価できる。肝心なのは、この改革を看板倒れに終わらせないことだ。

 農業では規制改革が一定の効果をあげ、農業生産法人などが利用する農地が2015年までの10年間で2.2倍に拡大した。対照的に、漁業の改革は遅れている。

 今年の水産白書によれば、大規模な経営体の数は13年までの20年間で68.5%減り、中小漁業者の減少率(37.5%)を上回る。競争力のある経営体を育てるためには、これまでのやり方を抜本的に変える必要がある。

 経営の合理化や企業参入を促すためには、まず硬直的な漁業権制度と漁協の改革を急ぐべきだ。

 小規模な漁業を営む漁業権や養殖業を手掛ける漁業権は漁協に優先的に与えられ、それを組合員の漁業者に分配する仕組みがある。日本の漁協は歴史的に地域の漁場を管理する役割を持つからだ。漁場管理の機能は大切だが、それが意欲的な挑戦を阻む障壁になってはならない。

 東日本大震災後の宮城県石巻市では水産業復興特区の制度を利用し、13年に民間企業であるカキ生産会社が漁業権を取得した。しかし、多くの漁業者はこれを地域の調和を乱す「悪例」ととらえ、後続は現れていない。

 養殖業に参入した水産大手には、規模を拡大しようとしても地域の漁協との調整に手間どる、という不満がある。経営規模の拡大や企業参入を後押しする漁業権制度に変えてもらいたい。

 日本の漁業者1人あたりの生産量はノルウェー、アイスランドの8分の1程度にすぎない。経営規模を拡大し、合理化と資源管理を徹底すれば、漁業就業者が減少しても1人あたりの生産量や所得を増やすことができる。

 漁業者がとった水産物は漁協が共同販売する。農協改革のように販売力を増し、経費を削る努力が漁協にも要る。漁協運営の透明性を高め、外部の知恵をもっと取り入れるべきだ。

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