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サービス業の付加価値を上げるには

2017/6/5 2:30
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 運送業界で、現在はトラック運転手が無料で引き受けることも多い荷物の積み下ろしなどを有料化する動きが広がりつつある。付加的なサービスを有料で提供し、従業員一人ひとりが生み出す利益の増加につなげる狙いだ。

 国土交通省によれば、運転手による荷造りや積み込みなどの荷役業務の4割に対価が支払われていない。荷主の都合による工場周辺などでの待ち時間も、運送業務の半分近くで発生している。いずれのコストも商慣行から運送会社の負担とされてきた。

 トラックの運賃は輸送距離で決まることが多い。しかし近年、小口荷物の扱いが増え、集荷先や納入先などでの作業が増えた。こうしたサービスの価値は運賃に十分反映されておらず、低収益・長時間労働を生んできた。

 付帯業務には丁寧な検品や荷造りなど、本来は高い価値を生んでいるサービスも多い。現場での作業やコストを整理点検し「見える化」を進めた結果、付加価値を生んでいると判断すれば有料化を求めていくべきだ。国交省も付帯業務の有料化を盛り込んだ新しい契約のひな型を作る方針だ。

 きめ細かいサービスが収益につながる仕組みができれば、働く人には提供するサービスの質を高める動機になる。能力や努力により賃金が上がる流れができれば、人材の確保にも生かせる。付帯業務を荷主が肩代わりした場合は、運転手の仕事の軽減につながる。

 生産性向上はサービス業界共通のテーマだ。現場の仕事を「見える化」し、無駄を省くと同時に、価値を生む仕事からきちんと対価を得ることが必要になる。人手不足に悩む運送業界の試みは、その試金石になるのではないか。

 流通、宿泊、飲食業などでもいま一度、社員の仕事を点検し、無駄な待機時間がないか、付加価値を生む作業にきちんと対価を得ているか、などの点をきちんと見極めたい。例えば百貨店などで包装を省略し希望者のみ有料で引き受ければ、客も店員も時間を節約でき、収益源の多様化にもなる。

 教育、福祉、医療など公的サービスでも「見える化」は有効だ。教師や保育士が部活指導や行事の下準備を外部に任せ、子供の指導やケアに集中すれば、サービスの質の向上と労働環境の改善を両立できるかもしれない。慣行や常識を捨て、仕事の仕組みと働き方の見直しに取り組みたい。

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