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改善が必要な高齢者がん治療

2017/5/22 2:30
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 厚生労働省は高齢がん患者の診療指針づくりに乗り出す。がん患者は高齢化が進み、約4割が75歳以上だ。薬の効果がはっきりしないまま、副作用に悩みながら治療を受け続ける例も多い。医療費が増える一因ともなっており、指針の作成は意義があろう。

 同省は今年度から6年間のがん対策の方向を示す「第3期がん対策推進基本計画」に、指針づくりを盛り込む方針だ。

 がんは種類や進み具合の診断結果に応じて最適と考えられる「標準治療」をまず実施するのが一般的だ。しかし、根拠となる臨床研究の多くは若い患者が対象だ。

 高齢患者にとって標準治療はリスクが大きい場合もある。生活の質(QOL)を考えて積極的に治療しない選択肢もありうる。

 経験豊富な医師は患者の表情によって治療内容を変えるというが、限界がある。科学的に根拠のある判断基準を設ければ、診断や治療の質の底上げにもつながる。

 それには国立がん研究センターや学会の協力を得て治療データを集め、副作用や効果を丁寧に調べる必要がある。

 ただ、結果をがん治療の現場にそのまま当てはめられるとは限らない。余命を延ばしたりQOLを高めたりできる可能性が低い治療法を、医療保険でどう扱うかなど慎重な議論がいる。

 がんの症状の表れ方は千差万別だ。治療を続けるか否かには一人ひとりの死生観も絡む。医師は指針をもとに、体の状態に応じた選択肢を十分に説明し、患者や家族の納得を得なければならない。

 がんは通院などの都合から、住まいの近くで治療を受ける場合が多い。中小の病院が、がん治療に重点を置く拠点病院と緊密に連携する仕組みも整える必要がある。

 将来的にがんの性質や薬への反応を判定できる遺伝子解析技術が進めば、年齢と無関係に患者にもっとも適した治療を提案できるようになるだろう。日本の取り組みは、これから高齢がん患者が増える他国のモデルにもなるはずだ。

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