トップ > 社説・春秋 > 記事

社説

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

日銀の金融政策「出口」の議論は丁寧に

2017/5/18 2:30
共有
保存
印刷
その他

 日本銀行が大規模な金融緩和を始めて4年以上たった。2%の物価安定目標はまだ達成していないが、異例の金融緩和の出口を探る時はいずれ来る。その日に備え、政策の効果とコストも含め丁寧な議論をしておく必要がある。

 出口の議論でまず必要なのは、きちんとした整理だ。第1は、金融緩和を縮小し、政策金利を上げて日銀の資産を減らす道筋の議論。第2は、出口で生じる恐れのある日銀の損失の議論だ。

 前者については、先行して緩和縮小に動く米国の例などを参考に市場と対話することが肝要だ。現時点では、いつ金利を上げ資産を縮小するか、といった具体的な手順を示すのは難しい。経済・物価情勢を見ながら、適切な時期と手法を日銀は工夫すべきだ。

 後者の日銀の損失問題は複雑で、丁寧な議論が必要だ。日銀は国債の発行残高の4割超を保有している。国債を買うためのお金は、主に日銀券の発行と民間金融機関からの日銀当座預金でまかなっている。この当座預金の金利の一部は現在はマイナスだ。

 将来、日銀が政策金利の短期金利を上げれば、当座預金の金利も上がる。これに対し、日銀が持つ超低金利の国債はすぐに売れないので、逆ざやになって日銀に損失が生じる恐れがある。

 日銀は引当金を積むなどの対応をとってはいる。だが、金利上昇の速度などによっては巨額の赤字が生じ債務超過におちいる恐れがある、といった指摘が民間のエコノミストなどから出ている。

 中央銀行には利息のつかない銀行券を発行する通貨発行益があるので、一時的に赤字になっても長い目でみれば利益が出るので収益は回復する。ただ、日銀の赤字が現実のものとなれば金融市場の不安が高まる恐れもある。一時的な財政支援の仕組みを検討する必要があるかもしれない。

 日銀の財務への影響は出口の際の経済・金利動向次第で、すべてを想定するのは難しい。それでも、異例の金融政策にコストがあることは念頭におくべきだ。

 本質的に重要なのは日本の財政への信認だ。国債の大量購入で日銀の資産が膨張した背景には、財政の健全化の遅れがある。

 日銀が国債を買えば財政問題が解決するということはあり得ない。日本経済の持続的成長と財政健全化の道筋を示し国の信用を維持することこそ、最重要の課題だ。

社説をMyニュースでまとめ読み
フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップ

企業・業界をもっと詳しく

企業がわかる。業界がみえる。ニュースとデータをまとめてチェック!

関連キーワードで検索

日本銀行出口

【PR】



日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報