トップ > 社説・春秋 > 記事

春秋

2017/5/17 2:30
共有
保存
印刷
その他

 「南太平洋の十字路」と呼ばれるフィジー。10年ほど前、地元の人に乗せてもらい、島内を車で走ったことがある。街を抜ければ人家もまばら。信号も対向車も見かけない。ところが小学校に面した道に差しかかると車は突然スピードを落とし、のろのろ運転を始めた。

▼その辺りにだけ、路面に波状のでこぼこが設けてあった。これでは速度を出そうにも出せない。ハンプ(こぶ)という仕組みで、欧米でも速度を強制的に落とさせるため一般に使われている。だがこのハンプ、日本ではなかなか普及が進まない。車や積み荷が傷む、乗り越える際の音がうるさい、などの意見が多いからだ。

▼身近な生活道路を歩いていた子どもや高齢者が車にひかれる。日本ではこうした形の交通事故が目立つ。このため警察庁は数年前から、住宅地で車の速度を抑えて事故を減らす取り組みをはじめているが、やはりハンプや車道の幅を狭くするハード面の対策がうまくいっていないのだという。先日、本紙がそう伝えていた。

▼通学路などで起きる事故は後を絶たない。痛ましいニュースを聞くと、フィジーで出会ったドライバーの笑顔が浮かぶ。「いい考えでしょう。ガタガタするけど事故があったらタイヘンだから」。きれいな海以外、魅力に乏しいのではと勝手に思い込んでいた南の島の事故対策。なんだかとても進んだ手法のように感じる。

春秋をMyニュースでまとめ読み
フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップ

関連キーワードで検索

春秋

【PR】



日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報