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てるみくらぶ破綻の教訓

2017/5/15 2:30
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 旅行会社、てるみくらぶ(東京・渋谷)の破綻から1カ月余り。インターネット予約の普及などで旅行業界は現在曲がり角にたつ。今回の破綻は今後の旅行業経営のあり方や、新たな被害防止策の必要性について教訓を残した。

 同社は航空会社やホテルから空席や空室を安く仕入れて売る格安旅行で成長した。しかし近年、中国人旅行者の増加により世界的に空席、空室とも減りつつある。さらに個人が使える予約サイトの台頭や航空会社自身によるネットでの直接販売の広がりもあり、既存の旅行各社は押されぎみだ。

 近畿日本ツーリストを傘下に持つ旅行業大手、KNT―CTホールディングスの2017年3月期決算はネット勢に押され2期連続で最終赤字になった。独自性の高い旅を提案したり、訪日外国人向けの企画を工夫したりすることは業界共通の課題といえる。

 一方、今回の破綻で特異なのは消費者の損害額の大きさだ。同社も加盟する日本旅行業協会には売上高に応じた拠出金を共同でプールし破綻に備える制度がある。補償に使えるのは拠出した額の5倍が上限だ。現行の制度となった06年以降、破綻した42件のうち31件で全額を補償できている。

 しかしてるみくらぶの場合、この制度で補償可能なのは損害の1%程度との試算がある。破綻直前に消費者から集めた申込金が異常に膨らんでいたためだ。

 今後、仮に業界や政府の負担を増やし補償額を手厚くすれば、今回のようなずさんな経営を助長する結果をまねきかねない。それよりも、おかしな経営への歯止め策を工夫すべきではないか。

 軽井沢スキーバス事故を機に国土交通省は昨年から、貸し切りバスに関し不当な安値受注の情報を同業者などから受け付けている。こうした通報制度の創設も一定の抑止力になろう。現在5年ごとの旅行業の登録更新をもっとこまめに義務づけ、経営状態を点検する手もある。政府と業界で話し合い、うまい知恵をみつけたい。

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