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企業は「3つの投資」の拡大ためらうな

2017/5/15付
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 日本企業の成長を続ける力が問われている。経費削減や不採算事業の撤退など身を削る経営だけでなく、収益の基盤を広げ、さらに強固なものにするための戦略へと踏み出すべきだ。

 本紙集計によれば、上場企業の2017年3月期は売上高が前の期に比べ3%減、純利益が21%増となった。これまでに進めた合理化が奏功して2年ぶりの最高益となったが、売り上げの増加を伴わない利益成長がいつまでも続くわけではない。

 企業は合理化で稼いだ利益をためるのではなく、収益力の向上に向けて活用しなければならない。今、企業に求められる投資は3つに大別できるだろう。

 まず、成長を加速させる投資だ。通常の設備投資だけでなく、M&A(合併・買収)の機会もうかがうべきだ。資産査定や買収価格の設定に注意を要するが、成長戦略としてM&Aが有効であることは否定できない。

 中期的にM&Aに投じる金額のめどを投資家に示す企業が増えた。たとえば、前期に3%減収・7%増益だった積水化学工業だ。同社は18年3月期からの3年間で総額1300億円のM&A枠を設けた。需要の拡大が見込める高機能プラスチックや医薬品といった分野で買収を進め、業績の一段の拡大を目指す。

 また、成長を長く続けるための投資も必要だ。有望とみられる技術の研究開発にも資金を有効に投じるべきだ。

 今期のトヨタ自動車は2期連続の減益を見込みながらも、4期続けて1兆円超の研究開発投資を予定する。電気自動車(EV)や自動運転などの分野で開発競争に後れをとれば、成長が止まるという危機感がにじむ。

 雇用の拡大や給与の引き上げといった、人材面での投資も怠るわけにはいかない。

 人件費の増加は短期的に収益を圧迫するが、良い人材を確保できればサービスの質が向上し、生産性は高まる。ヤマトホールディングスが1万人規模を採用し労働環境の改善に動くのは、そんな考えに基づいている。

 企業は配当などを通じて利益を株主に還元する責務も負う。しかし、投資を犠牲にしてまで株主還元に傾けば、企業の稼ぐ力は確実に衰える。それが長い目で見て株主の利益にも反することは、言うまでもない。

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