トップ > 社説・春秋 > 記事

春秋

2017/5/14 2:30
共有
保存
印刷
その他

 連休中、神戸の地下街でカフェを探した。紫煙をくゆらす客がいる店はすいている。逆にドアに禁煙マークがある所は女性を中心ににぎわっていた。平日だったりすると各店の客層や入りは違うのかもしれないが、休日は空気のきれいな禁煙の店の方に分がありそうだ。

▼一方、吸える空間ならではの効用も聞く。民族学者の石毛直道さんの経験だ。国際的な学会に出ると、さまざまな地から来た初対面の学者と会う。休憩時、喫煙所で何度も顔を合わせ雑談するうちに仲間意識が生まれ、会議の方向を左右するグループが形成されることがあるという。「タバコのむすぶ縁」と表現している。

▼3年後の東京五輪・パラリンピックを控え、厚生労働省が受動喫煙防止策を強化しようとしている。小規模の店を例外に飲食店などの建物内を原則禁煙にする内容だ。これに自民党や業界が「厳しすぎる」と反発し、大詰めの調整が続く。現状を「世界最低レベル」とする厚労省では、大臣が説得に乗り出しているという。

▼石毛さんは、やはり愛煙家だった小松左京さんの告別式で遺影に煙をふく「献煙」をした思い出がある。亡き人やスターの面影がタバコとともに浮かぶ例も多いだろう。世相の一端を担った役割は確かにあった。五輪を控えて、規制の国際標準化は必須だ。しかし、タバコという脇役をめぐる追憶は胸にしまっておきたい。

春秋をMyニュースでまとめ読み
フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

共有
保存
印刷
その他

電子版トップ

関連キーワードで検索

春秋

【PR】



日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報