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成長を続けるアマゾンの光と影

2017/5/14 2:30
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 電子商取引の草分けである米アマゾン・ドット・コムが15日、株式上場から20年の節目を迎える。同社はネットを通じた買い物を定着させた。一方で寡占の防止などの課題も浮上している。

 アマゾンは企業価値を示す株式の時価総額が4500億ドル(約51兆円)を超えた。背景には高い成長力がある。2016年の売上高は邦貨換算で15兆円に迫り、この規模でもなお、前年比増加率は30%近い。成長を続ける経営には日本企業も学ぶところがある。

 多くの電子商取引分野の企業のなかでアマゾンが勝ち残った理由はまず、徹底した顧客重視だ。

 商品に関する購入者の否定的な感想も紹介する。自社サイトで他社の商品も取り扱う。短期的に売上高が減る可能性があっても、顧客の立場でこうした取り組みを進め、支持を広げた。

 価格も大きな要素だ。多くの商品を安く提供し、顧客基盤を拡大することを優先した。06年に始めたコンピューターを企業に時間貸しするクラウドサービスは、これまでの値下げが61回に及ぶ。

 一方、アマゾンの急成長は新たな問題も提起している。

 ひとつは、健全な競争環境をどう維持するかだ。利便性などが評価を受け、アマゾンは電子書籍やクラウドサービスで高いシェアを獲得した。ただ、新規参入が難しくなると、中長期的に利用者に不利益が及ぶ恐れもある。

 4日には欧州当局との間で、電子書籍の取引契約の見直しに合意した。出版社に最安値でコンテンツを提供することを求めるのをやめる。日本でも昨年、公正取引委員会の立ち入り検査を受けた。当局は監視を強めるべきだ。

 競合企業を小さなうちに買収し、結果として競争が弱まる場面もあった。既存の独占禁止法などで食い止められなければ、制度の見直しも必要になるだろう。

 もうひとつは、プライバシーの保護だ。アマゾンが収集する個人情報は急増している。米国などで販売している音声で操作するスピーカーは、家庭内の会話を把握できる。消費者は便利さの裏側にある仕組みを理解し、サービスを使う必要がある。

 IT(情報技術)業界では以前、強い影響力を持つ米マイクロソフトが会社分割を求められ、対応に苦慮した。アマゾンが持続的に成長するためには、自らを律することが欠かせない。

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