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春秋

2017/5/13 2:30
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 さきごろ華々しく開業した「GINZA SIX」は、いま東京で人がいちばん集まる場所だろう。銀座で最大という商業施設だが、その広いフロアも客でぎっしり。ラッシュアワーの雑踏みたいだ。エスカレーターにも鈴なりの人である。みごとに、左側1列で――。

▼「どうか2列でご利用ください」。従業員が声をからすが、誰も聞く耳を持たない。こんなに混んでいるのだから、どう考えたって2列のほうが効率的だ。なのに、急いでいる人のために片側を空けておくというルールは強固なようである。係員が叫べども叫べども、客は頑として片側空けを崩さない。奇観というべきか。

▼地域により国により、空けるのが右か左かの違いはあっても世界に広まったこの風習の成り立ちは定かではないという。ただ、日本で普及したのはさほど昔ではないらしい。1993年の朝日新聞には、英国の例を挙げて片側空けを勧める投書が載っている。これぞ先進国のスマートなマナーとされた時期もあったわけだ。

▼それも今は昔。エスカレーターを歩くのはそもそも危険だと鉄道会社などはさかんに呼びかける。よし、2列主義を実践しようと某日、かの銀座新名所で地下2階から6階まで、右側に立ってみた。すると後ろに一人、二人。なーんだ、誰かがやれば習慣は変わるじゃないか。いやいや、追い越そうとして舌打ちしていた?

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