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大型インフラを仕上げる力を高めるには

2017/5/13 2:30
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 日本企業が手掛ける大型インフラ案件で、顧客への引き渡しが遅れたり建設費用が予定を超過したりする事態が、相次いでいる。

 三菱重工業を中心に開発する国産旅客機「MRJ」は5度目の納入延期を決めた。東芝が米国で進めた原子力発電所の建設事業は巨額の損失を招いた。

 プラント建設や航空機開発に求められるのは、高度な加工や組み立ての技術だけではない。設計から建設・製造、完成後の運転・保守まで、全体をまとめあげるプロジェクト管理の力が問われる。

 大型案件は完成までに長い時間がかかる。小さなつまずきの放置は後々、大きな損失につながる。東芝の原発事業の損失が膨らんだ背景には、2006年に買収した米ウエスチングハウスの経営実態を親会社が十分に把握できていなかったことがあるとみられる。

 総合電機や総合重工業と呼ばれる企業は多様な事業領域を持つ。M&A(合併・買収)で外国企業が傘下に入る例も増えている。事業部門や子会社でのトラブルを見逃さない、企業統治の仕組みを整えることが、まず必要だ。

 三菱重工は大型客船の建造で巨額の損失を出した。内装が主力客である富裕層の好みを満たせないなどとの理由で、設計や工事をやり直したためだ。

 MRJは米当局から、安全性を確認する証明を取得する作業が難航している。設計を見直した結果、試験飛行の時間が増え、納入も先送りせざるをえなくなった。

 こうした事態を避けるには、設計段階で顧客の要望を良く理解し、納入先の国が定める規制にも入念に対応する必要がある。ルールの変更をいち早くつかむアンテナも、大切だ。

 日立製作所は鉄道車両事業の本社機能を情報の集まるロンドンに移し、鉄道事業に詳しい現地人材をトップに据えた。グローバル市場に挑むには、迅速に意思決定を下す体制が欠かせない。

 MRJは約半世紀ぶりの国産旅客機開発だ。国内で新設原発の完工は09年が最後だ。大型案件の相次ぐ遅れや損失の背景には、案件が途絶えることによる経験や人材の不足もあるのではないか。

 損失に懲りて事業から撤退するだけが答ではない。誤りを修正し継続案件にいかすことで競争力は高まる。個別企業の枠を超え、人材や経験を伝えていく方法を考えていくことも必要だろう。

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