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人口減にらみコンパクトな街を目指せ

2017/5/12 2:30
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 全国の自治体で住宅や商業・福祉施設などを一定の区域に誘導する「立地適正化計画」の策定が広がっている。地方の人口減少が加速するなかで、郊外での無秩序な開発に歯止めをかけ、コンパクトな都市構造に転換することが求められているためだ。

 市町村がつくる同計画では、住宅を集める「居住誘導区域」と、店舗や病院、学校などの立地を促す「都市機能誘導区域」を設ける。市街化区域よりも狭い範囲にそれぞれ設定することになっており、時間をかけて街を縮め、人口密度を維持する狙いがある。

 背景にあるのは地方都市のにぎわいの喪失だ。特に、県庁所在市に次ぐ第2、第3の都市の衰退が著しい。このまま人口密度が低下すると、スーパーのような生活に欠かせない店や施設の撤退が加速しかねない。

 団塊世代がすべて75歳以上になる2025年ごろには、車を運転できない高齢者が急増する。現在のように通勤から通院、買い物まで車に依存せざるを得ない都市構造では暮らしづらくなる。そうなる前に様々な機能を一定の区域に集約しようというのが同計画だ。

 特に重要になるのが住宅の立地だ。駅やバス停に近い地域に誘導し、公共交通や徒歩で移動できる街に徐々に変えていく必要がある。日常生活で歩く時間が増えれば健康面にもいいだろう。サービス付き高齢者向け住宅の郊外立地も抑えてほしい。

 老朽化した公共施設についても街なかでの集約を積極的に進めるべきだ。コンパクトな街になれば、訪問介護の事業者などの生産性も高まる。

 車への過度な依存を改めるカギとなるのが公共交通網の充実だ。この点では住民の協力が欠かせない。岐阜市では地域住民が協議会を設けてコミュニティーバスのルートやダイヤ、運賃を決め、利用増につなげている。

 市町村がすでに策定した計画をみると、熊本市や山形県鶴岡市などのように居住区域の縮小に積極的な地域がある一方で、都市機能区域だけを設けて居住区域は先送りしたところもある。人口減少時代の都市のあり方について自治体はもっと真剣に検討すべきだ。

 同計画の策定を後押ししているのは国土交通省だが、政府全体で取り組むべき課題だろう。過疎対策などと同時に地方都市の再生にもっと力を入れてほしい。

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