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公的金融は「平時縮小」の原則を徹底せよ

2017/5/11 2:30
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 政府系金融機関である商工組合中央金庫が、大規模災害などで一時的に業績が悪化した企業に融資する「危機対応業務」で不正をしていたことが明らかになった。

 震災や金融危機で経営が急速に悪化する企業は多い。危機対応業務の対象と認められると、企業は利子補給で負担が小さくて済む。この利子補給は、別の政府系機関である日本政策金融公庫むけの政府の出資金が元になっている。

 商工中金が設けた第三者委員会の調査結果によると、危機対応業務の対象を増やそうと取引先企業の売上高や純利益の数字などを書き換え、減ったように見せる不正が広い範囲であったという。

 不正は全国35支店で760件、99人の職員が関与していた。実態よりも顧客の業績が悪化したように数値を改ざんし、融資を積み上げていった不正の温床は、肥大化した公的金融にある。

 2008年のリーマン危機や11年の東日本大震災の際には危機対応の資金需要は大きく、商工中金は円滑に融資を実行できていた。だが、その後は「円高対策」「原材料高対策」と名目を変え、無理に事業規模を保とうとした。

 金融安全網としての公的金融の機能は否定しない。しかし、金融危機や震災という「有事」から「平時」へと経済が移れば、民間金融機関の経営を圧迫しないように危機対応業務は縮小していくのが本来の姿だ。

 商工中金はその原則を徹底できず、税金の無駄遣いに手を染めた。経済が平時に戻っているのに、事実上のノルマとして危機対応を各営業店に割り振り、実績を職員の評価対象にしていた。

 しかも不正融資が経営陣に伝えられていながら、結果として組織の自浄作用が働かなかったのはきわめて深刻な事態である。最近の商工中金の社長は2代続けて経済産業省の事務次官経験者だ。

 商工中金は役員報酬の一部返納などの措置を発表しているが、組織や人材の刷新を含む解体的な出直しをすべきではないか。

 政府も商工中金に業務改善命令を出すだけで事態を収拾しようとするなら問題だ。

 これを機に商工中金に限らず、政府系金融機関のすべてを対象に業務が肥大化していないかを総点検すべきだ。官民ファンドも例外ではない。会計検査院も速やかに調査に入り、徹底的に問題点を洗い出してほしい。

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