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海外M&Aの成功率を高めるために

2017/5/2 2:30
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 海外のM&A(合併・買収)でつまずき、巨額の損失を計上する企業が相次いでいる。鳴り物入りの大型買収がなぜうまくいかないのか。各企業は失敗の原因を検証し、M&Aの技量を磨いていくことで、成功率を高めなければならない。

 日本企業の海外買収熱は近年高まりを見せており、M&A助言会社のレコフによると、2016年度の買収総額は過去最高の11兆円に達した。国内市場が成熟するなかで、潤沢な手元資金を海外の買収に投じ、成長戦略を加速する。このような積極的な姿勢は前向きに評価したい。

 問題は買収が所期の成果を生まず、逆に大きな損失を出してしまう例が目立ってきたことだ。日本郵政は、2年前に買ったオーストラリアの物流子会社について4千億円の減損損失を計上し、17年3月期は民営化後初めて最終赤字に転落した。

 東芝の経営危機も06年に買収した米ウエスチングハウスの巨額損失が引き金だ。そのほかブラジルでの買収でつまずいたキリンホールディングスや、買収で傘下におさめた中国企業が破綻したLIXILグループなど失敗例は枚挙にいとまがない。

 原因の一つとみられるのが相手企業を本来の価値よりも高く買う「高値づかみ」だ。日本郵政の長門正貢社長は豪社について、「(買収前の)査定が甘かったのではないか。少し買収額が高かった」と述べた。

 高値づかみのリスクを防ぐには、相手企業の資産査定を厳格に実施することが欠かせない。経営者には冷静なそろばん勘定を失わずに、取引の是非を判断する姿勢が求められるだろう。

 買収後の対応も重要である。相手企業の経営を現地に任せきりにし、不祥事や損失を見逃してしまうリスクに十分気をつけなければならない。

 被買収企業の自主性を尊重する一方で、リスク管理や投資計画にはしっかりと目を光らせる体制が不可欠だ。相手企業に乗り込み、経営の陣頭指揮をとれるようなグローバル経営人材の育成も急務である。

 リスクの多い海外買収だが、日本電産日本たばこ産業のように海外M&Aをテコにして世界市場に飛躍した企業もある。買収戦略の巧拙が各企業の未来を大きく左右する時代が到来した。

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