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政権は社会保障の歳出改革に取り組め

2017/5/1 2:30
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 少子高齢化と総人口の減少は日本が抱える最大の構造問題のひとつだ。減り続ける働き手の保険料・税で高齢層への社会保障給付を賄うやり方は早晩、行きづまる。

 負担と給付に関する世代間の不公平を和らげ、高齢世代内で持てる者から持たざる者への所得移転を促す制度改革が待ったなしだ。

 にもかかわらず安倍政権は改革に消極的にみえる。高齢の有権者に不人気な改革は強い政権でこそなし得る。1強といわれる政権なのだから、特に歳出面を中心に社会保障改革に取り組んでほしい。

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は最新の将来推計人口で半世紀後の平均寿命を男が約85歳、女は約90歳と仮定した。ともに今より4歳強も長い。これは喜ばしいことだが保険医療費の一部を賄っている国・自治体の財政や年金財政には逆風になる。

 医療保険や厚生・国民年金などの給付の元手は現役世代と企業が払う保険料・税が大半を占める。少子化傾向の目立った改善は見通しにくい。現役世代の負担を過重にしない処方箋のひとつが早めの増税だが、政権は消費税率の10%への引き上げを凍結した。であれば給付の野放図な膨張を抑える制度改革が不可欠である。

 医療は患者が病院・診療所にかかったときの窓口負担を増やしたり、薬局の市販薬と同じ効果・効能の処方薬への保険給付を圧縮したりする必要がある。

 医師の専門性をより高めつつ、初期医療を担う家庭医と高度医療の専門医との役割分担も課題だ。英国やオランダは家庭医が医療費を抑える先兵役になっている。

 年金は一定の収入・資産がある受給者への年金課税を強め、その分を基礎年金の税財源に充てれば高齢世代内の不均衡の緩和につながる。消費者物価の下落時などに年金の名目額を前年比マイナスにしない仕組みも見直すべきだ。

 子育て支援は保育所増設が急務だ。主に女性の働く機会を広げ、日本の成長力の強化につながる。政権は民間の力を生かす規制・税制の改革で後押ししてほしい。

 税財源で賄う生活保護世帯の医療費が野放図に増えないよう、規律を働かせる仕組みもいる。

 社会保障の持続性を高め、現役世代の負担を過重にしない改革は年金積立金の株式運用を増やすよりも経済の基盤を強くする。有権者におもねるのではなく、納得させる政権の力量が試されている。

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